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【2025年最新】居抜きの物件のデメリット10選|専門家が詳しく解説

2025/07/08

飲食店を始めたい方にとって、初期費用をグッと抑え、スピーディーに自分の店を開業できる「居抜き物件」に興味がある方は多いのではないでしょうか。

とはいえ、「居抜き物件」の魅力的なメリットだけではなく、知らずに契約すると後戻りできない「デメリット」の部分も把握しておかないと、契約後に後悔してしまうことも。

本記事では、居抜き物件を探している方、そして売却を考えている方に向けて、知っておくべき落とし穴と、よくあるデメリット10選を徹底的に解説します。


なぜ「居抜き物件」に落とし穴があるのか?初心者向けにやさしく解説

居抜き物件というと、前の店舗の内装や厨房設備が残っているので、初期費用が抑えられて早く開店できるというメリットがよく挙げられます。

しかし、そんな居抜き物件でも、きちんと理解しないと、「意外な落とし穴」があり、良くない条件も全て引き継いでしまう可能性もあるため、まずは定義から詳しく解説します。

そもそも「居抜き物件」とは?見た目の魅力に隠れた注意点

居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装・厨房設備・空調・什器(テーブルや椅子など)が、そのままの状態で残されている物件のことです。

居抜き物件で開業する場合、さまざまな設備や器具を使えるので魅力的に見えますが、ここで注意したいのが、そのほとんどが「中古品」であるということです。

もし、設備の所有権や状態を明確にしておかないと、後々のトラブルの原因になってしまうことが多くあります。

居抜き物件とスケルトン物件の違いをもう一度おさらい

念のため、居抜き物件とスケルトン物件の違いを明確にしておくと、スケルトン物件は、建物のコンクリートの壁や床、天井などがむき出しになった、何もない状態の物件のことを指します。

2つの特徴を、実際に比較してみましょう。

居抜き物件とスケルトン物件の違い

「コストとスピードを最優先するなら居抜き」「デザインやコンセプトの実現を優先するならスケルトン」と、飲食店オーナーの目的によって、最適な選択が変わります。

比較項目居抜き物件スケルトン物件
初期費用
既存の内装設備を使うため安くなる
×
全てゼロから工事するため多額の費用がかかる
開業スピード◎ 
1週間〜
×
設計・工事で2ヶ月以上
レイアウトの自由度
既存のレイアウトが基本

コンセプト通りに実現可能

どういう人は避けるべき?居抜き物件には向いていない業態

居抜き物件に向いてない人、もしくは向いてない業態があるので、簡単に3つ解説します。

  • ① 独自の世界観・コンセプトを絶対に譲れない人
    • 壁紙の色からカウンターの素材、客席の配置まで、全て自分の理想通りにしたい方は、せっかくの居抜きをほとんど改装することになるので、逆に損になることも。

  • ②リスクを徹底的に排除したい慎重派の人
    • 中古設備の故障リスクや、前の店の評判を引き継いでしまうのが不安な方は、精神的な負担が大きくなることも。

  • ③ 提供する料理やオペレーションが特殊な業態
    • たとえば本格ベーカリーに必要な大型オーブン、重飲食で不可欠な強力な排気設備など、既存の設備では対応できない業態は、設備の入れ替えやインフラの増強で思わぬコストと時間がかかることも。

これらの点に不安を感じる場合は、一人で判断せず専門家と相談することが大切です。

店舗売却ドットコムでは国内外で飲食店も経営している会社だからこそ、お客様に寄り添ったサポートを提供しています。

居抜き物件の売却だけではなく、居抜き物件を探している人に対しての物件も取り扱っているので、詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

ここでは、実際に現場で起きることがある、居抜き物件で起こりがちなデメリットを10個、具体的に解説します。

また、プロの目線で「内見時に何をチェックすべきか」といった具体的なポイントも解説しているので、これから物件の売却・購入を考えている方、どちらの立場の方にも役立つ情報となっています。

① 見えない部分の老朽化で修繕コストがかさむ

① 見えない部分の老朽化で修繕コストがかさむ

内見時に、内装がきれいで問題がなさそうに見えても、壁や床の内部に隠れた排水管、ガス管、排気ダクトなど、重要設備が老朽化しているケースがあります。

【チェックしたいポイント】

  • 点検口を開けて確認
    • 天井や壁に点検口があれば、開けてもらい、スマホのライトなどで内部の錆や水漏れの跡がないか確認する。
  • シンクから水を流す
    • 許可が得られたら、厨房のシンクから水を流してみて、異音や流れの様子を確認する。
  • 大家・管理会社へヒアリング
    • 「過去に水漏れなどのトラブルはなかったか」「前回の配管工事はいつ頃か」を具体的に質問し、回答を記録しておく。

注意点として、内見で確認するときは必ず許可を得てからチェックするようにしましょう。

② レイアウトが業態に合わず、改装費用が発生

一見すると効率的に見えるレイアウトも、ご自身のお店のオペレーションに当てはめると、「厨房が狭すぎてスタッフがすれ違えない」「料理を提供する際の動線が悪い」などの問題が出てくることも。

そのため、レイアウトは単純に「きれいか、使いやすそうか」で判断するよりも、「メニュー、客単価、スタッフの人数、料理提供時の動線など、お店のスタイルに合っているのか」で考えましょう。

店舗売却ドットコムでは、店舗を売却したい方に向けてのサービスを提供していますが、グループでは、居抜き物件の仲介など、幅広いサポートをしています。

③ 機器や設備に保証がなく、壊れても自費対応

③ 機器や設備に保証がなく、壊れても自費対応

居抜き物件に残された厨房機器やエアコンなどは、基本的に「現状有姿」、つまり、「今の状態のままの引き渡し」のため、引き渡し後の動作保証は基本的に一切ありません。

そのため、契約後の修理や買い替えの費用はすべて自己負担となるため、後悔しないように、以下の点を明確にしましょう。

【チェックしたいポイント】

  • すべての設備の動作確認
    • 内見時にすべての機器の電源を入れさせてもらい、正常に動くかを確認する。
  • 製造年月日を確認
    • 一般的に飲食店の設備の寿命は7〜10年といわれているので、機器に書かれた製造年がいつなのかを確認する。
  • 譲渡対象リストの作成
    • どの設備が譲渡対象なのかをリストアップし、契約書に明記してもらう。

④ 電気・排水などインフラ容量が足りない場合も

前のテナントが、カフェなどの軽飲食店で、次のお店が焼肉店などの重飲食店が入る場合は、電力やガスの容量、給排水管の太さが足りないことがあります。

もし、こうしたインフラ工事をしなくてはいけない場合は、工事費用が高額で時間もかかるので、開業スケジュールに大きな影響を与えることもあります。

【チェックしたいポイント

  • 分電盤を確認
    • 分電盤を見れば、その物件の電気容量がわかるので、導入したい厨房機器の消費電力の合計と見比べて、容量が足りるかを確認する。
  • ガス管・給水管の容量を確認
    • 内見に設備に詳しい業者などを同行させて、メーター周辺の配管の直径を確認してもらう。
  • 業態の確認
    • 前のテナントがどのような業態だったかを確認し、ご自身がやりたい業態と比べて、設備的に負荷が大きくならないかを確認する。

⑤ 前テナントの悪評・トラブルを引き継ぐ可能性

⑤ 前テナントの悪評・トラブルを引き継ぐ可能性

前テナントが「料理が美味しくなかった」「店内の雰囲気がよくなかった」などの良くない印象があった場合は、看板を変えたとしてもその場所に残り続けます。

それだけでなく、近隣住民からのトラブルや、ネットの口コミサイトが残り続けた場合は、次のテナントの正当な評価をさまたげてしまうこともあるので、注意しましょう。

【チェックしたいポイント】

  • ネットでの評判調査
    • Googleマップやグルメサイトで、その住所に過去にあった店の口コミを徹底的に調べましょう。
  • 周辺での聞き込み
    • 物件の近くのお店を利用した際に、前のテナントのイメージを聞いてみるのも有効な手段です。
  • 閉店理由の確認
    • 不動産会社に、前のテナントの閉店理由を必ず聞くようにしましょう。

⑥ 譲渡契約でのトラブル(口約束・費用の不明確)

居抜き物件の契約には、大家さんとの「賃貸借契約」、前のテナントの「造作譲渡契約」が発生することがあります。

もし、「この設備は使っていいですよ」と口頭で言われたとしても、後に「言った、言わない」のトラブルに発展し、高額な支払いを請求されてしまうケースもあります。

【チェックしたいポイント】

  • 契約はすべて書面
    • 口頭での口約束は絶対に避け、すべての合意事項を書面に残し、署名・捺印を交わすようにする。
  • 造作譲渡契約書を確認
    • 譲渡対象となる設備や内装のリストが添付されているか、金額の算出根拠は明確か、などを専門家を交えて確認する。
  • リース物件の有無を確認
    • 譲渡対象の設備にリース品が含まれていないかを、前のテナントに必ず確認する。

⑦ 希望に合う物件が少なく「妥協しやすい」罠

希望に合う物件が少なく、開業予定に間に合わなさそうな際に「もう見つからなさそうだし、この物件で妥協しようかな」と思うこともあるのではないでしょうか。

実は、本当に優良な居抜き物件は、インターネットの物件サイトに掲載される前に、水面下で次の借り手が見つかっているケースが多いんです。

だからこそ、いち早く優良な情報を得ることが物件探しの鍵となります。

店舗売却ドットコムを運営する、株式会社Food Innovators Japan(FIJ)では、購入したい方にとっては知りたい非公開物件を多数取り扱っています。

また、店舗売却ドットコムでは、居抜き物件を売却したい方のサポートをしていますので、お気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談

⑧ 退去時にトラブルになるケースも

賃貸借契約には、「原状回復義務」という、「退去時には借りた時の状態にして返す義務」があります。

居抜き物件の場合、借りた時の状態がどの部分を指すのかが曖昧だと、退去時に余計な工事費用が発生してしまう可能性があります。

【チェックしたいポイント】

  • 契約書で「原状回復の範囲」を確認
    • 「居抜き状態で引き渡された状態」に戻せば良いのか、「スケルトン状態」まで戻すのか、契約書で明確に定義されているかを確認する。
  • 入居時の写真を撮っておく
    • 契約時の物件の状態を、日付が分かるようにあらゆる角度から撮っておくと、退去時のトラブルを防ぐ証拠になります。
  • 内装変更の許可を取る
    • 壁紙の変更や棚の設置など、少しでも内装を改修する場合は、大家さんには事前に書面で許可を取りましょう。

⑨ 保健所・消防の基準変更により再工事が必要なことも

「前のテナントは問題なく営業していたから、保健所の営業許可や消防署の検査基準は大丈夫」と思うかもしれませんが、実は大丈夫ではない可能性も。

たとえば、数年前は大丈夫だったシンクの数がいまではダメな場合もあり、行政から指摘を受けた結果、追加工事のためにオープンが遅れてしまうケースもあります。

【チェックしたいポイント】

  • 保健所への事前相談
    • 物件の契約前に、図面を持って管轄の保健所に事前相談に行くのが最も確実なので、「この物件で飲食店を開業したい」と伝え、基準を満たしているかを確認する。
  • 前テナントの営業許可や消防検査の記録をもらう
    • 前テナントの営業許可や消防検査の書類を入手することで、検査の流れを把握しやすくなり、既存不適格でそのまま通る可能性も。
  • 店舗内の設備
    • グリストラップと手洗い設備の有無を確認する。

【チェックしたいポイント】

  • 保健所への事前相談
    • 物件の契約前に、図面を持って管轄の保健所に事前相談に行くのが最も確実なので、「この物件で飲食店を開業したい」と伝え、基準を満たしているかを確認する。
  • シンクの数とサイズ
    • 厨房内に2槽以上のシンクがあるか、それぞれのサイズ(幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上が目安)は基準を満たしているか確認する。

⑩ 売却や退去時に買い手・借り手が見つかりにくい

開業時の内装や設備は大事なのはもちろんですが、売却や退去時にも、内装・設備・お店の口コミなどが非常に重要になります。

「この立地と内装なら、もし自分が店を閉めることになっても、次の買い手は見つかりやすいだろうか?」という視点を持つことで、事業全体のリスク管理につながります。

店舗売却ドットコムは、その名の通り「飲食店の店舗売却の専門家」であり、これまでに1,600店舗以上の売却実績があります。

運営の母体である株式会社Food Innovators Japan(FIJ)の知見も活かし、物件探しから将来の売却までを一貫してサポートできるのが強みです。

店舗売却ドットコムに相談

居抜き物件には、隠れたデメリットがありますが、実際にはそれ以上に多くのメリットもあります。

ここでは、居抜きメリット10個を簡単に紹介するので見ていきましょう。

  • ① 初期投資をグッと抑えられる(コストの内訳を図で紹介)
  • ② 開業までの時間が短くて済む(通常の物件との比較表あり)
  • ③ 既存の厨房や設備がそのまま使える(どこまで使えるかのチェックリスト)
  • ④ 設備の再利用でランニングコストも削減できる
  • ⑤ 旧店舗の常連客を引き継げる可能性がある(実例つき)
  • ⑥ 営業許可や保健所申請がスムーズなことも
  • ⑦ 内装や導線がテスト済みで安心(過去の実績を確認する方法)
  • ⑧ 店舗デザインのヒントが得られる(アイデア事例あり)
  • ⑨ 採用も有利に?前店舗の人材が残っていることも
  • ⑩ 条件交渉しやすく、家賃や譲渡金が割安になることも

以下の記事では、本記事の内容とは逆の「居抜きの物件のメリット10選」を解説していますので、ぜひ参考してください。

本記事では、居抜き物件に潜む10個のデメリットと、内見時のチェックポイントや専門家としてのアドバイスをしてきました。

もう一度、居抜き物件の10個のデメリットを確認しておきましょう。

  1. 見えない部分の老朽化で、高額な修繕コストが発生するリスク
  2. レイアウトが業態に合わず、結局改装費用がかさむリスク
  3. 厨房機器や設備に保証がなく、故障したらすべて自費対応になるリスク
  4. 電気・ガス・水道のインフラ容量が、あなたの店の営業に耐えられないリスク
  5. 前テナントの悪評や近隣トラブルまで引き継いでしまうリスク
  6. 造作譲渡契約の曖昧さから、金銭トラブルに発展するリスク
  7. 物件数の少なさから焦って妥協し、事業の成功を遠ざけてしまうリスク
  8. 原状回復義務の範囲が不明確で、退去時に揉めるリスク
  9. 保健所や消防署の現行基準を満たせず、追加工事が必要になるリスク
  10. 売却や退去したい時に、次の買い手・借り手が見つかりにくいリスク

上記のように、この記事では居抜き物件のデメリットを詳しく解説してきましたが、もちろん、それを上回るメリットを感じられるケースも多くあります。

店舗売却ドットコムが最もお伝えしたいのは、「居抜き物件は危険」ということではなく、「デメリットを正しく理解し、信頼できる飲食店専門のパートナーに相談すれば、リスクを最小限に抑えられる」ということです。

「居抜き物件の売却、または購入について詳しく聞いてみたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
居抜き売却を検討している方はもちろん、居抜き物件を探している方は、お気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談
株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。