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投稿日:2025/11/08

飲食店の開業、移転、または閉店は、経営者にとって、非常に重要な経営判断です。
その事業の成功を大きく左右するのが”物件選び”。
特に「居抜き物件」と「スケルトン物件」のどちらを選択するかは、初期投資額、開業までのスピード、自社ブランドを表現するデザインの自由度といった、根本的な経営戦略にかかわります。
「居抜き物件だとお店づくりが好きなように出来ない」
「スケルトン物件だと初期工事費用が高すぎる…」
上記のように、多くの経営者が目先の課題に悩みますが、実際はどちらの物件が自社の事業戦略に最適かを、将来の「出口戦略」まで見据えて明確に把握している人は多くありません。
本記事では、居抜き物件とスケルトン物件の定義から、各物件のメリット・デメリット、さらに買い手・売り手それぞれの視点から見た物件選びのポイントを網羅的に徹底比較します。

飲食店の開業、移転、もしくは閉店を検討する際、物件の選択は事業の成否を左右する極めて重要な戦略的意思決定です。
その中でも、特にコスト面とスピード面を重視する方で知っておきたいのが「居抜き物件」です。
居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装、厨房設備、空調、什器備品などがそのままの状態で残されている物件を指します。
具体的には、壁や床、天井の内装はもちろん、厨房の防水設備、排気ダクト、グリストラップ、さらには調理機器やテーブル、椅子といった、運営に必要な「資産」を引き継いで事業を開始できる状態の店舗のことです。
これにより、ゼロから店舗を構築する「スケルトン物件」よりも、内装工事や設備投資にかかる初期費用と時間を大幅に削減できるのが特徴です。
居抜き物件に適している飲食店の特徴は、以下のような例が挙げられます。
居抜き物件の購入を希望する方、もしくは売却したい方の双方の手続きは異なります。
居抜き物件を購入する際、開業したいエリアや坪数、前テナントの業種などの条件を明確にした上で、Web上で居抜き物件を取り扱う業者を探し、売り手との交渉をサポートしてもらいながら進めていくのが一般的です。
また、売却する際に関しては、売却したい手法がある程度決まったら、まずはWeb上で店舗を売却してくれる業者を探して、その業者に買い手探しや貸主との交渉、契約書の作成など、多岐にわたるサポートをしてもらいます。
これらの複雑な交渉や契約手続きを個人で行うと、思わぬトラブルに発展したり、不利な条件で契約してしまったりするケースが後を絶ちません。
だからこそ、居抜き物件の購入・売却を成功に導くためには、専門家のサポートが不可欠になります。
店舗売却ドットコムでは、飲食店の居抜き物件の売却に特化した専門スタッフが、貸主との円滑な交渉から、独自のネットワークを活かした最適な買主のマッチング、法務リスクを回避する契約手続きまで、網羅的にサポートしております。
まずはお気軽に無料相談をご活用ください。

飲食店を出店するにあたり、「スケルトン物件」と「居抜き物件」は対極に位置する選択肢です。
初期投資と準備期間は大きくなるものの、ゼロから構築だからこそできるメリットもあるので、詳しくみていきましょう。
スケルトン物件とは、建物の構造躯体(骨組み)がむき出しになっている状態の物件を指します。
具体的には、壁や天井、床の内装がすべて解体・撤去され、コンクリートが打ちっぱなしの状態であり、厨房設備や空調、トイレ、照明器具といった付帯設備も一切設置されていません。
まさに「箱」だけの状態から、電気・ガス・水道・給排気のインフラ工事を含め、店舗のすべてをゼロから自由に設計・構築していくのがスケルトン物件での開業です。
内装から設備導入までを自由にアレンジできるスケルトン物件は、明確なビジョンを持っているオーナーにとっては第一の選択肢になります。
居抜き物件は、飲食店の開業において非常に有力な選択肢ですが、その特性を十分に理解しないまま契約を進めると、予期せぬ落とし穴にはまる危険性も。
ここでは、居抜き物件が持つ主要なメリットとデメリットを専門的な観点から3つずつ解説します。

居抜き物件が持つ最大の魅力は、なんといっても「コスト」と「スピード」です。詳しくみていきましょう。
居抜き物件の最も大きなメリットは、開業にかかる初期投資費用を圧倒的に抑えられる点です。
スケルトン物件から店舗を立ち上げる場合、内装工事だけで坪単価30万円~50万円以上、総額で数百万円から数千万円の費用が発生しますが、居抜き物件ではこのほとんどを削減できます。
また、居抜き物件を売却したい場合も、通常であれば数百万円かかる「スケルトン戻し」にするための原状回復工事費用がなくなるだけではなく、閉店時に残った内装や設備を「資産」として売却できるので、閉店コストを抑える事が可能です 。
店舗の設計や内装工事には通常3ヶ月から半年ほどの期間を要しますが、居抜き物件では既に内装や厨房設備がある状態なので、この期間を大幅に短縮できます。
また、店舗を売却する際も、買い手が見つかれば、貸主との交渉や契約書の作成をしつつ、引き渡し日のギリギリまで営業することができます。
そのため、買い手、売り手側の双方が「空家賃」期間を最小限に抑え、スピーディーに開店もしくは閉店することができます。
厨房設備や空調、什器備品がすでに揃っているため、設備選定や業者との打ち合わせにかかる時間と手間を大幅に省くことができます。
ただし、残っていた厨房器具や設備以外で必要なものは、当然ご自身での準備が必要になるので、「何が必要なのか」を明確に把握しておきましょう。
また、閉店の際にこれらを売却したい際には「造作」という専門用語で呼ばれる資産として売却することが可能です。その場合、産業廃棄物として処理する必要がなくなるので、閉店コスト削減につながります。
居抜き物件のメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

コストやスピードの観点から見ると、多くのメリットがある居抜き物件ですが、どんな物事にも光と影があるように、無視できないデメリットが存在します。
ここでは、主要なデメリットやリスクをみていきましょう。
引き継いだ設備はすべて中古品のため、一見きれいに見えても、内部の劣化が進んでいる可能性があります。
特に、壁や床下に埋設されている給排水管の詰まりや劣化、排気ダクト内部の油汚れといった「見えない部分」のトラブルは、開業後に発覚することが少なくありません。
これらの修繕には高額な費用がかかるだけでなく、営業を一時停止せざるを得ない状況にもなりかねません。
契約前に専門業者を交えて設備の動作確認を徹底し、「万が一トラブルが起きた際にどのような対処をしてもらうか」などが契約書に記載されているかを明確に把握しておく必要があります。
既存の内装や設備を活かすことが前提となるため、自社のブランドコンセプトやオペレーションに合わせたレイアウト設計をしたい場合は、自由に設計する事が難しくなります。
非効率な動線は、たとえば料理の提供スピードに問題が出るだけでなく、お客様に居心地が悪い印象を与えてしまい、結果として売上悪化につながってしまうことも。
また、あとから大幅な改装工事を入れることになると、居抜き物件の最大のメリットであるコスト削減効果が失われ、本末転倒になりかねません。
引き継ぐ厨房機器や空調設備は、基本的にメーカーの保証期間が終了しているケースがほとんどです。
さらに、前テナントとの間で交わされる「造作譲渡契約」では、「現状有姿(あるがままの状態)」での引き渡しが一般的であり、売主は引き渡し後の故障に対する責任(契約不適合責任)を負わないとする特約が記載されることが多いです。
そのため、万が一、設備が故障した場合、その修理費や交換費用はすべて新オーナー(買い手)の負担になるので、予期せぬ出費に備え、あらかじめ修繕用の予算を確保しておく必要があります。
居抜き物件のデメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
これまで解説してきた居抜き物件のメリットとデメリットを一覧表にまとめました。事業計画を立てる際の思考整理にご活用ください。
| 項目 | メリット(良い点) | デメリット(注意点) |
| コスト(費用) | 初期投資(内装工事費・設備購入費)を大幅に削減できる。売却の際は、原状回復にかかる費用が不要になる場合がある 。 | 設備の突発的な故障や老朽化による修繕費が発生するリスクがある。造作譲渡料が必要な場合もある。 |
| スピード(時間) | 設計・工事期間が短く、スピーディーな開業が可能。空家賃の期間を短縮できる。 | 売却時、買主探しや貸主との交渉に時間がかかり、営業赤字が長引く可能性がある 。 |
| 自由度(設計) | 厨房レイアウトなどを考える手間が省ける。 | 既存のレイアウトに縛られ、自社のコンセプトや効率的な動線を実現しにくい。 |
| 設備・資産 | 厨房設備や什器が揃っており、すぐに営業を開始できる。売却の際に、「資産」として売却が成立すると利益を得られる可能性がある。 | 設備は中古品で保証がなく、故障リスクを自己負担で負う必要がある。リース品が含まれているトラブルもある。 |
このように居抜き物件は多くのメリットがありますが、同時にデメリットや注意点も存在します。
特に、居抜き物件の売買には法的な知識が必要なのはもちろん、売り手や買い手探し、貸主との交渉、契約書の作成など、多岐にわたる手続きが必要になります。
店舗売却ドットコムでは、飲食店に特化した居抜き物件の購入・売却サポートをしております。お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な戦略を提案いたしますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
スケルトン物件は、独自のブランドを確立し、理想の店舗空間をゼロから創造したい事業者にとっては、最適の選択肢と言えるでしょう。
ここでは、飲食店のスケルトン物件の主要なメリットとデメリットを3つずつに分けて解説します。

スケルトン物件がもたらすメリットは、単なる「自由度の高さ」にとどまりません。詳しくみていきましょう。
スケルトン物件最大のメリットは、何もない骨組みだけの状態なので、自由にデザインができる点です。
壁の色、床材、照明、厨房レイアウト、客席の動線設計にいたるまで、すべてを自社のブランドコンセプトに合わせてゼロから構築できます。
これにより、他店との明確な差別化を図り、顧客に一貫したブランド体験を提供することが可能になります。
居抜き物件では、しばしば問題となる「前店舗の評判(特に悪評)を引き継いでしまうリスク」があります。
しかし、スケルトン物件の場合、前テナントの痕跡が一切ない状態で引き渡されるため、「新しいオーナーが新しい店舗を開業した」と、完全に新規の店舗として地域に認知させることができます。
これにより、事業者自身の力でゼロからクリーンなブランドイメージを構築していくことが可能です。
導入する厨房機器や空調設備はすべて新品のため、中古設備に潜む突発的な故障リスクを回避する事ができます。
すべての設備にメーカー保証が付帯しており、取扱説明書も完備されているため、メンテナンス時期を正確に把握し、長期的な修繕計画を立てることが容易になります。
これにより、予期せぬ出費や営業停止といった経営リスクを低減させ、長期にわたる安定した店舗運営の強固な基盤となります。

独自性のある店舗が作れるという大きなメリットがある一方、事業者が覚悟すべき財務的・時間的な負担が存在します。
これらのデメリットを正確に把握し、スケルトン物件の良し悪しを客観的に判断しましょう。
スケルトン物件の最大のハードルは、内装工事、電気・ガス・水道・給排気といったインフラ設備工事、そして厨房機器や什器・備品の一式購入費などにかかる高額な初期費用です。
また、すべてゼロから調達する必要があるので、複数の業者と緻密なスケジュール管理を行わなければならないだけではなく、納期遅れや納品後のトラブルが少なくありません。
内装工事費だけでも、業態によっては坪単価50万円を超えることも珍しくなく、総額では数百万円から数千万円規模の資金が必要となります。
店舗のコンセプト設計、内装業者の選定、各種工事、そして消防署や保健所の検査といった一連のプロセスには、一般的に3ヶ月から6ヶ月ほどの期間を要します。
この間はもちろん営業する事はできないので、収益はゼロのまま家賃だけが発生してしまいます。
さらに最近では、人材不足や資材不足により、工事や納品の遅れが増えてきているので、空家賃は開業後の運転資金を圧迫する大きなリスクになってしまいます。
事業用物件の契約では、退去時に物件を入居時と同じ状態に戻す「原状回復義務」を負うのが原則です 。
つまり、居抜き売却を利用しない限り、退去時も同様にスケルトン状態に戻すための解体・撤去工事が必要となり、再び高額な費用が発生します。
見落とされがちですが、この退店時にかかるコストを、事業計画の初期段階から正確に折り込んでおくことで、将来のリスクヘッジにつながります。
スケルトン物件のメリットとデメリットを一覧表にまとめました。こちらも自身の事業計画と照らし合わせるためのツールとしてご活用ください。
| 項目 | メリット(良い点) | デメリット(注意点) |
| コスト(費用) | 設備の修繕リスクが低く、長期的な運営コストは見通しやすい。 | 初期投資(内装工事・設備購入費)が非常に高額になる。退去時の原状回復費用も高額。 |
| スピード(時間) | - | 設計・施工に3〜6ヶ月を要し、開業まで時間がかかる。その間の空家賃も負担となる。 |
| 自由度(設計) | レイアウトやデザインの自由度が非常に高く、理想の店舗をゼロから構築できる。 | - |
| 設備・資産 | 全て新品の設備を導入できるため、故障リスクが低く、メーカー保証も受けられる。 | 全ての設備を自己資金で調達する必要がある。 |
本記事では、2025年最新の動向と専門家の視点から、「居抜き物件」と「スケルトン物件」の定義の違いから、それぞれのメリット・デメリット、買い手・売り手側の目線で解説してきました。
結論として、飲食店の物件選びにおいて、「居抜き」と「スケルトン」のどちらが絶対的に優れているという答えは存在しません。
「初期費用を抑えたいのか」
「スピーディーに開業したいのか」
「ゼロからお店づくりをしたいのか」
といった、経営者のビジョンや資金、資金計画によって、どちらの物件が適しているのかは大きく変わります。
これまで解説した要点をまとめると、以下のようになります。
居抜き物件が最適なのは、
スケルトン物件が最適なのは、
ただし、ここで重要なのが、目先の初期費用だけで判断するのではなく、「退店時の出口戦略をどうするか」という視点を持つことです。
契約書の一文、特に「原状回復義務」に関する条項が、数年後のご自身の事業の財務状況を大きく左右します。
現在、移転・閉店を考えている方は、原状回復工事費用が不要になるだけではなく、内装、厨房設備などの造作が売却できる「居抜き売却」を、まずは検討してみましょう。
逆に今から開業される方は、移転・閉店時に「居抜き売却」というメリットが大きい選択肢を覚えておくと良いでしょう。
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