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2025/07/11
飲食店の開業にあたり、内装や設備をそのまま引き継げる「居抜き物件」に興味がある方は多いのではないでしょうか。
居抜き物件での開業は初期費用が抑えられる上にスピーディーに事業を開始できるメリットがあり、開業資金を有効活用したい方にはおすすめな物件取得方法です。
本記事では、自ら飲食店を経営し、飲食店舗の売買に携わる「店舗売却ドットコム(株式会社Food Innovators Japan)」が、居抜き物件の取得(開業)や売却(撤退)を考えている飲食店の方へ向けて、以下の内容を専門家の視点から詳しく解説します。
居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装・厨房設備・空調・什器(テーブルや椅子など)が、そのままの状態で残されていて、次のテナントが引き継いでくれることを前提とした物件を指します。
ここで、「造作譲渡」という契約が鍵になってきます。
つまり、居抜き物件は単に「中古の設備が付いた物件」というだけでなく、開業、撤退したい方の両方にとって、コストと時間を最適化する、非常に戦略的な選択肢なのです。
スケルトン物件は、建物のコンクリートの壁や床、天井などがむき出しになった、何もない状態の物件のことを指します。
実際に、2つの特徴を比較してみましょう。
居抜き物件とスケルトン物件の違い
比較項目 | 居抜き物件 | スケルトン物件 |
初期費用 | ◎ 内装・設備費を節約 | × すべてゼロから工事 |
開業スピード | ◎ 最短1週間〜 | × 設計・工事で2ヶ月以上 |
レイアウトの自由度 | △ 既存のレイアウトが基本 | ◎ コンセプト通りに実現可能 |
上記の表はあくまで参考ではありますが、
と、飲食店オーナーの目的によって、最適な選択が変わります。
居抜き物件が持つ大きなメリットを最大限に活かすには、その特性と相性の良い「業態」と「経営者」のタイプが存在します。以下に代表的な例を挙げました。
向いている業態・経営者像
上記の他にも、テスト出店や期間限定での出店を考えているなど、多くのシーンで検討できる開業方法です。
2025年現在、居抜き物件への注目度はかつてなく高まっています。その背景には、単なるコスト削減だけではなく、時代の流れともいえる複数のトレンドが存在します。
このような複数の社会的・経済的トレンドが追い風となり、居抜き物件の戦略的価値はますます上昇しています。
ここでは、飲食店の居抜き物件におけるメリットを10個解説します。
居抜き物件の最大の魅力といえば、「初期費用をグッと抑えられる」ところです。
実際に、スケルトン物件と比較した場合、初期投資費用にどれほどの差が生まれるのかを、20坪の飲食店を例に見てみましょう。
居抜き vs スケルトン 初期投資比較(20坪飲食店の場合)
費用項目 | スケルトン物件 | 居抜き物件 | 削減効果 |
---|---|---|---|
物件取得費(保証金等) | 150万~300万円 | 150万~300万円 | 同等 |
内装・設備工事費 | 800万~1,700万円 | 100万~500万円 | 700万~1,200万円 |
厨房機器費 | 150万~500万円 | 0円~(譲渡内容による) | 150万~500万円 |
造作譲渡料 | 0円 | 50万~300万円 | -50万~-300万円 |
修繕・クリーニング予備費 | 軽微 | 50万~200万円 | -50万~-200万円 |
合計 | 1,100万~2,500万円 | 350万~1,300万円 | 約750万~1,200万円 |
このように、居抜き物件を選ぶことで、開業時に必要な資金を数百万円から、場合によっては1,000万円以上も圧縮できる可能性があります。
開業までの期間は、売上を得られない間の家賃(空家賃)が直接的なコストとなるため、ビジネスの成功を分ける重要な要素になります。居抜き物件は、この期間を劇的に短縮できるメリットがあります。
実際にスケルトン物件との比較を見てみましょう。
居抜き vs スケルトン 開業までの時間比較
工程 | スケルトン物件 | 居抜き物件 |
業者選定・資金調達 | 1~4ヶ月 | 1~4ヶ月 |
物件探し・契約 | 1~3ヶ月 | 1~3ヶ月 |
設計・打ち合わせ | 1~2ヶ月 | 不要 or 短縮 |
内装・設備工事 | 1~2ヶ月 | 1~2週間 |
許認可・スタッフ採用 | 1ヶ月 | 1ヶ月 |
合計期間 | 約5~12ヶ月 | 約3~6ヶ月 |
上記のように、設計などの打ち合わせ〜内装・設備工事が不要もしくは短縮されるため、開業までの時間が短くて済みます。
店舗売却ドットコムでは、スピーディーに売却したい方に向けて、飲食店に特化した売却サポートをしております。運営会社のFood Innovators Japanでは、居抜き物件を探している方に向けての仲介サポートもしておりますので、居抜き物件についてお気軽にご相談ください。
厨房設備は、飲食店の核の部分です。ただし、前のテナントのものが自店のコンセプトやオペレーションに合致するとは限りません。
既存の厨房や設備がそのまま引き継げることは大きなメリットですが、場合によってはトラブルになるケースもあります。厨房設備の他にも、契約前に以下の点を専門家と共にチェックすべきか、リストで確認しましょう。
居抜き物件のメリットは初期投資だけにとどまりません。意外と見落とされがちですが、引き継ぐ設備の性能によっては、月々の運営費(ランニングコスト)にも良い影響を与えます。
たとえば、比較的新しいエアコンや高機能トイレなどを引き継いだ場合には、月々の電気代や水道代を抑えることができます。
逆に、全体的に古い設備が多い場合には電気・ガス・水道代が高くつく可能性があるため、③のチェックリストで設備の年式や状態を確認することが、長期的なコスト管理においても重要になります。
旧店舗の状況にもよりますが、繁盛店の居抜きだった場合、その顧客基盤は何百万円もの価値を持つ可能性も。
以下に、店舗売却や買取時に役立つ経営視点「顧客生涯価値(LTV: Life Time Value)」を紹介します。
顧客生涯価値(LTV: Life Time Value)
顧客生涯価値(LTV)=平均客単価×年間平均来店回数×平均継続年数
(例)平均客単価5,000円の常連客が、月に3回、3年間利用してくれる場合
5,000円×36回×3=540,000円
もし、旧店舗の常連客が10人、上記の計算のように利用してくれた場合には、540万円の売り上げ基盤を開業段階で手に入れたと等しいことになります。
そのため、新オーナーはSNSでの事前告知や開店後の挨拶回りなど、旧オーナーや常連客とのコミュニケーションを丁寧に行うことにより、開業当初から売り上げや信頼が期待でき、スムーズな引き継ぎが実現できます。
店舗売却ドットコムを運営する、株式会社Food Innovators Japanでは、飲食店の居抜き物件探しのお手伝いはもちろん、開業時のアドバイスの総合的なサポートもしております。
居抜き物件の営業許可について、最も重要な注意点は「許可は引き継げない」というところです。そのため、 必ずご自身の名義(または法人名)で、新規に許可を取得しなくてはなりません。
では何がスムーズかというと、旧店舗が営業許可を得ていたことで、許認可の基準を満たす設備やレイアウトが、既に整っている可能性が高いという点にあります。
ただし、法令は年々更新されるため油断は禁物です。 例えば、2槽以上のシンクや扉付きの食器棚の設置など、「現行の基準に適合しているか」、契約前に専門家を交えて確認することが不可欠です。
スケルトンで一から理想の店舗を作った場合、「実際に料理を提供する際の動線が良くなかった」などの悪い点が見つかった場合、造作しづらいです。
しかし、居抜き物件の場合は実証済みのレイアウトを手に入れることができるため、オペレーション上などでの失敗リスクを軽減できる可能性があります。
もし可能であれば、閉店前の店舗を客として訪れ、実際のお客様の流れやスタッフの動きを観察しておくことで、引き継ぎ後もスムーズなオペレーションが組みやすいです。
全くゼロからのデザインを考えるのは大変ですが、設計士に依頼するのにもお金と時間のコストがかかります。
その点、居抜き物件の「ここの部分はそのまま利用して、この部分は変更する」など、既存の内装をうまく活用することで、コストを抑えつつオリジナリティのある店舗デザインに仕上げることも可能です。
店舗売却ドットコムを運営する株式会社Food Innovators Japanにご相談いただければ、居抜き物件に精通した設計士が、お客様を力強くサポートします。
事業譲渡や株式譲渡の場合、条件により旧店舗のスタッフが残ってくれる可能性が高いですが、居抜き物件の場合も交渉次第では、スタッフが残ってくれることも。
特に、旧店舗のスタッフは常連客や業者との関係構築や、料理を提供する際の動線など理解していることが多いので、開業する方にとっては即戦力となります。
そのため、設備や内装の交渉だけではなく、売却したい背景や理由などを明確にし、スタッフの件も交渉してみるのも良いでしょう。
居抜き物件は、売り手(退去者)と貸主(家主)の双方が「早く次のテナントを決めたい」という気持ちが働くだけでなく、買い手側は「安くスピーディーに開業したい」という視点があります。そのため、それぞれにとって交渉の余地が生まれやすいのが特徴です。
ここでは、売り手側、貸主、買い手側の3つの観点でのメリットを解説します。
売り手側のメリット
貸主のメリット
買い手側のメリット
このように、居抜き物件の交渉は、三者三様のメリットが絡み合う効率の良い方法です。それぞれの立場を理解し、うまくコミュニケーションを図ることで納得のいく、売却・買取の実現を目指しましょう。
これまで見てきた通り、居抜き物件には多くのメリットがありますが、そのメリットを最大限に活かすためには、その裏に潜むデメリットと注意点を理事前に解しておくことが成功の鍵となります。
ここでは、契約後に後悔しないために知っておくべき代表的なリスクを簡潔にまとめたので、併せてチェックしましょう。
居抜き売却のデメリット
これらのリスクを回避し、後悔のない物件選びをするために、以下の記事でそれぞれの対策を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
本記事では、2025年の最新の市場環境を踏まえながら、居抜き物件が持つ10のメリットを網羅的に解説してきました。
本記事で解説した10のメリット
このように、居抜き物件は売り手、貸主、買い手の三者それぞれにメリットが多い一方、それらはデメリットと表裏一体です。そのため、後悔のない選択をするには、飲食店の居抜き物件に関する実績が豊富な業者と相談しながら進めることが重要です。
店舗売却ドットコムは、単なる店舗売却のサポートに留まりません。運営会社の株式会社Food Innovators Japanでは、自ら国内外に飲食店を運営している知見を活かし、一都三県を中心に居抜き物件の買取・仲介業務も行っています。
さらに、関連会社にて飲食店に特化した人材紹介サービスや、事業ゴミの定期回収の手配も可能なため、飲食店の経営を総合的にサポートする体制が整っております。
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