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【2025年最新】飲食店の資金繰りの方法|悪化時の対策も解説

投稿日:2025/08/19

最終更新日:2025/08/21

飲食店を経営する中で、このような悩みを抱え込んでいませんか?

  • 「来月の支払いは大丈夫だろうか」
  • 「売上は立っているのに、なぜか手元にお金が残らない」

飲食店の資金繰りは、経営者の皆様にとって最も頭の痛い問題の一つです。しかし、正しい知識と手順を踏めば、解決への道筋は必ず見えてきます。

本記事では、2025年最新の公的支援制度(融資・補助金)から、資金繰りが悪化した際の緊急対策、そして未来を見据えた出口戦略まで、飲食店の資金繰りに関するすべてを網羅的に解説します。

飲食店の経営において、利益の追求以上に重要となるのが「資金繰り」です。多くの経営者が「日々の売り上げは立っているのに、月末の支払いが厳しい…」という経験をお持ちではないでしょうか。

ここでは、資金繰りの本質と、飲食業界が抱える特有の構造的リスクについて解説します。

資金繰りとは何か?

資金繰りとは、事業における現金の流れ(キャッシュ・フロー)を管理し、支払い不能に陥らないよう手元資金(キャッシュ)を常に確保・調整することを指します。

会計上の「利益」と一緒にされがちですが、両者は別物で、以下のような違いがあります。

  • 利益:「収益ー費用」で算出される帳簿上の数値であり、手元に現金がなくても計上される。
  • 資金繰り:「収入ー支出」という現金の出入りそのもの。そのため、たとえ決算書が黒字でも、仕入れ代金や家賃、給与といった支払いのタイミングで手元資金が尽きれば、事業が立ち行かなくなることも。

飲食店の資金繰りが難しい理由

飲食業界は、他の業種と比較して資金繰りが難しくなる、以下の4つの構造的な要因を抱えています。

  • 高い変動費率(FLコスト)
    • 食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせたFLコストは、少しの客数減が直接的に資金繰りを圧迫する主要因となる。
  • 売上金の入金サイトの遅れ 
    • キャッシュレス決済の普及により、売上金が実際に入金されるまでのタイムラグが生じやすくなっている。
  • 予測しづらい売上の変動
    • 天候や経済動向、SNSでの突発的なトレンドなど、外部要因に売上が大きく左右される。
  • 避けられない先行投資と固定費 
    • 開業費用や定期的なメンテナンスに加え、売上の有無にかかわらず毎月発生する家賃や借入金返済が経営を圧迫する。

資金繰り悪化がもたらすリスク

資金繰りの悪化を放置すれば、事業に深刻な影響を及ぼします。

  • 信用の失墜:仕入れ先への支払いや従業員への給与の遅延。
  • 事業機会の損失:新メニュー開発や店舗改装、人材採用といった成長投資の停滞。
  • 金融機関からの評価低下:追加融資や条件変更の交渉が困難になる。

そして、最大のリスクが「黒字倒産」です。これは、帳簿上では利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要な現金がなくなり倒産に至る、経営者として最も避けなければならない事態です。

これらのリスクは、どれか一つでも発生すれば経営に大きなダメージを与えるため、資金繰りの重要性を理解し、早期に対策を打つことが、大切なお店を守るために不可欠です。

【2025年最新】飲食店の資金繰りを安定させる具体的な方法

資金繰りの安定は、守り(コスト管理)と攻め(売上向上・資金調達)の二つの要素で実現します。日常的に実践できる具体的な改善策を実行し、磐石となるキャッシュフロー体制を構築しましょう。

ここでは、即効性のある施策から中長期的な体質改善まで、4つのアプローチを解説します。

売上アップ施策

売上アップは、資金繰り改善に最も直接的な原動力になるので、単に客数を増やすだけではなく、「利益率」を意識した施策が重要となります。

  • 利益率の高いサイドメニューの推奨などの「客単価の向上」
  • LINE公式アカウントやポイントカードなどを活用した「リピート率の向上による顧客基盤の安定化」
  • テイクアウトやデリバリーなどの「新たな収益源の確保」 など

コスト最適化

売上と同じく重要なのが、支出のコントロールで、特に飲食店経営の根幹である「FLRコスト」の継続的な見直しは不可欠です。

  • F(食材費)の見直し:仕入れ先の見直しや不採算メニューを改善・廃止する
  • L(人件費)の最適化:予約状況や過去の売上データに基づき、無駄のない最適なシフトを作成する
  • R(家賃)の交渉:固定費の中で最も大きな割合を占める家賃の交渉

融資・助成金の活用

自己資金だけで経営を続けることには限界があります。外部からの資金調達を戦略的に活用することで、さらなる事業成長のチャンスを掴むことができます。

特に、国や自治体が提供する制度は、低金利・無担保など、事業者にとって有利な条件が揃っているケースが多くあります。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 国の補助金・助成金
  • 自治体の制度

これらの制度は、公募期間や要件が頻繁に更新されるので、必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。

支払いサイトの調整と資金管理

キャッシュフローを健全に保つには、お金が出ていくタイミング(キャッシュ・アウト)をできるだけ遅くし、入ってくるタイミング(キャッシュ・イン)を早める工夫が必要です。

支出のタイミングを遅らせるには、支払いをクレジットカードや法人向け決済サービスに切り替えることで、実際の引き落とし日を先延ばしにできる可能性があります。

収入のタイミングを早めるには、キャッシュレス決済を導入する際、入金サイクルが短い決済代行会社を選ぶといいでしょう。中には、翌日入金に対応しているサービスもあります。

資金繰りが悪化したときの緊急対策とは?

「明確に資金繰りが悪化した」と感じた時、多くの経営者はパニックに陥りがちですが、この時こそ冷静な判断と迅速な行動が求められます。

まずはこれ以上の悪化を防ぐためにも、以下の6つの対策を検討してみましょう。

①資金繰り表を作成して現状を把握

緊急時だからこそ、現状の正確な把握がすべての起点になります。もし作成していなければ、すぐに資金繰り表を作成しましょう。

ここで重要なのは、「今後3ヶ月〜半年間の現金の出入りを詳細に予測」し、「いつ」「いくら」資金が不足するのかを具体的な日付と金額で明確にすることです。

これにより、打つべき対策と時間の猶予が把握できます。

②固定費を削減する工夫

売上をすぐに上げるのが難しい場合は、毎月必ず発生する固定費を見直しましょう。

通信費や光熱費の契約プランの見直し、利用頻度の少ないITツールの契約を解約することで、固定費がグッと抑えられることもあります。

また、役員報酬を多めに設定している場合は、経営者自身の役員報酬を一時的に減額することも、会社の現金を残すためには重要な選択肢の一つです。

③売上アップを目指す短期施策

コスト削減と並行して、即効性のある売上をアップさせるための施策をしましょう。

「本日限定」「今週のみ」といった、限定メニュー・キャンペーンを店内やSNSで実施することで、顧客の来店動機につなげます。

また、回転率の高いテイクアウトメニューや、提供スピードが速いランチメニューに変えることで売上アップにつながります。

④家賃交渉やリースバックの活用

月々の固定費で最も大きな割合を占める家賃やリース料は、交渉の余地がある場合があります。

家賃は、資金繰り表や試算表などの客観的な資料を基に、貸主(大家さん)へ経営状況を正直に伝え、一時的な減額や支払い猶予を相談してみましょう。

厨房機器などを対象としたリースバックは、一度リース会社に売却してまとまった現金を手に入れ、その後はリース料を支払いながら機器を使い続ける手法になります。

⑤借入返済のリスケジュール交渉

金融機関への借入返済が厳しくなった場合、絶対にやってはいけないのが「無断での延滞」です。

返済が滞る前に、必ず金融機関の担当者に相談し、返済計画の見直しを交渉してみましょう。

もし、ご自身での交渉が不安な場合には、日本政策金融公庫や信用保証協会、よろず支援拠点といった公的機関の専門家を交えて相談することも可能です。

⑥店舗売却や事業譲渡も現実的な選択肢

上記すべての対策をしても資金繰りの改善が見込めない場合、「店舗売却」や「事業譲渡」の検討をするのも一つの手です。

売却、譲渡と聞くと、ネガティブに聞こえるかもしれませんが、今ある店舗を「資産」という価値に変えて、負債の拡大を食い止め、違う場所で新たに事業を始めるための可能性も秘めています。

次は、そんな「店舗売却」という選択肢について、詳しくみていきましょう。

「資金繰りの改善策を尽くしても良くならない…」このような場合、「店舗売却」は事業と経営者自身の未来を守るための、前向きで現実的な経営判断となります。

精神的・体力的に限界を超えるまで営業を続け、多額の負債を抱えて廃業するよりも、店舗という資産を現金化し、次のステップに進むために、具体的なプロセスとメリットを見ていきましょう。

店舗売却の流れ・準備事項

店舗売却の流れ・準備事項

店舗売却、特に内装や設備ごと売却する「居抜き売却」は、一般的に以下の流れで進みます。

【売却までの基本的な流れ】

  1. 専門家への相談・査定依頼
    1. まずは店舗売却の専門家に相談し、自店の資産価値の査定を依頼する。
  2. 媒介契約の締結
    1. 査定額や条件に納得したら、買主を探してもらうための媒介契約を結ぶ。
  3. 貸主(大家)の承諾取得
    1. 次の借主へ店舗を引き継ぐことについて、貸主から承諾を得る(重要)。
  4. 買主の募集・交渉
    1. 専門家がネットワークを駆使して買主候補を探し、賃貸借契約や造作譲渡の条件を交渉。
  5. 各種契約の締結
    1. 条件がまとまれば、貸主と買主、売主の間で賃貸借契約や造作譲渡契約などを締結。
  6. 店舗の引き渡し・代金の決済
    1. 店舗を買主に引き渡し、売却代金を受け取る。

【事前に準備しておきたい書類】 

以下の書類を準備しておくと、査定や交渉がスムーズに進みます。

  • 賃貸借契約書
  • 店舗の平面図、区画図
  • 厨房機器や内装設備のリスト、リース契約書
  • 直近の決算書や確定申告書、月次の試算表

売却によるキャッシュ確保と固定費削減

店舗売却が成功すると、経営者は2つの大きなメリットを受けることができます。

1つ目は、まとまった現金の確保です。売却で得た資金は、借入金の返済や次の事業の元手とすることができるので、再スタートが切りやすくなります。

2つ目は、月々の固定費からの解放です。売却が完了した日から、毎月の家賃、人件費、水道光熱費といった固定費の支払いはゼロになるので、精神的な負担も大きく軽減されます。

とはいえ、いざ売却を考えると、

「何から手をつけていいのか」

「誰に相談すべきか」

「従業員や取引先にはどう伝えれば…」

と、不安は尽きないことでしょう。

だからこそ、一人で悩みを抱えず、まずは飲食店の店舗売却を専門としている業者に無料相談してみましょう。

店舗売却ドットコムに相談

まとめ

飲食店の資金繰りは、問題が表面化する前の「早期対応」が何よりも重要です。

日々のコスト管理や戦略的な資金調達を実践し、資金繰り表で常に自社の経営状態を正確に把握しておくことが、安定経営の基盤となります。

そして、万が一の事態に備え、「出口戦略」を考えることは、決してネガティブなことではなく、むしろ、経営者として自身と事業の未来を守るための、極めて重要なリスク管理です。

もし少しでも資金繰りに不安を感じたら、一人で抱え込まず、公的な相談窓口や、私たち「店舗売却ドットコム」のような信頼できる専門家にご相談ください。

「居抜き物件の売却、または購入について詳しく聞いてみたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
居抜き売却を検討している方はもちろん、居抜き物件を探している方は、お気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談
株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。