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投稿日:2025/10/03

飲食店の倒産件数が過去最多を記録した2023年。その流れは2025年に入っても続いており、帝国データバンクの調査では、物価高・人手不足・深刻な円安を背景に、多くの経営者が岐路に立たされていることが明らかになっています。
「うちの店はまだ大丈夫だ」と思っていても、時代の流れや複数の外的要因により、いつの間にか客足が遠のき、閉店を検討しなくてはいけない時期がくることも。
手遅れになる前に、本記事では、ご自身のお店が閉店しそうなお店かどうかの確認から、閉店サインが現れる本当の理由、閉店・撤退で後悔しないための方法。そして最終的な出口戦略である「居抜き売却」で損しない方法までを網羅的に解説します。


経営が順調な時ほど、実は内部に潜んでいる問題点に気づきにくいものです。
以下のチェックリストは、閉店という最悪のシナリオを回避するために、早期に発見すべき「危険信号」をまとめたものなので、一つずつみていきましょう。
固定費の圧迫は、飲食店経営における最も危険なサインの一つです。
一般的に、売上高に占める家賃比率は10%以下、食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせたFLコストは60%以下が健全な経営の目安とされています。この水準を超えた状態では、わずかな売上減が即赤字に直結します。
危険な財務状況を放置してしまうと、キャッシュフローが悪化し、帳簿上は利益が出ていても手元の現金が尽きる「黒字倒産」に至るリスクも高まります。
「新しいスタッフが入ってもすぐに離職する」といった頻繁な離職は、労働環境や将来性など、店舗が抱える根深い問題の表れです。
従業員は、経営の内部実態を詳しく知らなくても、「この店で働き続けるのは将来が不安だ」という空気感を敏感に察知します。
スタッフ不足や教育の質の低下は、サービスの質の低下に伴い客離れを招き、採用・教育コストがさらに経営を圧迫するという、負のスパイラルに陥ります。
一度は意気込んで立ち上げたSNSの更新や販促活動が停止してしまうのも、危険な兆候です。
たとえ、日々の業務に追われていたとしても、未来への投資である販促活動を止めることは、お店の成長を自ら手放すことに等しい行為です。
情報発信が途絶えると、お店を調べてくれたお客様も「もうこのお店は営業していないのかもしれない」と判断してしまいがちです。そうなると、ますますお客様との接点は失われ、競合がひしめく現代の市場では急速に忘れ去られていきます。
想定していた売上に届かない日々が続き、目先の売上を追うあまりメニューや割引に一貫性がなくなるのは、「そもそも、なぜこのお店を始めたのか」という原点を見失っている証拠です。
コンセプトの曖昧化は、これまでお店を愛してくれた常連客を失望させ、お店の独自性を失わせます。
最終的には「何が魅力かわからない店」という印象を与え、他店との差別化ができず、安さだけで戦う厳しい価格競争に巻き込まれていきます。
「トイレが汚れている」「テーブルから嫌な匂いがする」「床がベタついている」といった、ほんのわずかな「隙」は、お客様からの信頼を一瞬で失います。
QSC(品質-Quality、サービス-Service、清潔さ-Cleanliness)レベルの低下は、スタッフの士気低下や経営者の管理能力の限界が顕著に現れる部分です。
特に現代では、SNSでのネガティブな口コミは瞬時に拡散し、デジタルタトゥーとして残り続けます。そのため、一度失った評判を回復させるのは極めて困難です。
損益分岐点やFLコストを即答できない「どんぶり勘定」は、経営において最も致命的な問題です。
自店の経営数値を把握していなければ、問題の根本原因がどこにあるのか特定できず、効果的な対策を打つことができません。
問題が表面化した時には、すでに資金ショート寸前という手遅れの状態に陥っていたというケースが非常に多いです。

チェックリストで挙げた「閉店サイン」は、あくまで表面的なものにすぎません。その背景には、必ず根本的な原因が潜んでいます。
ここでは、閉店に至るお店が抱える本質的な3つの理由をみていきましょう。
閉店理由として最も根深いのが、「飲食店経営に不可欠な数字に基づいた管理」の欠如です。
明確な売上目標や利益計画がないまま、FLRコスト(食材費・人件費・家賃)を管理せず、損益分岐点やキャッシュフローを正確に把握しないまま経営を続けるのは、非常に危険です。
気づかぬうちに原材料費の高騰や客数減が利益を圧迫し、赤字が慢性化。そして問題が表面化した時には、すでに打つ手がないという最悪の結末を迎える典型的なパターンです。
「この方法で成功してきた」という過去の成功体験が、変化への対応をはばんでしまうケースは少なくありません。
コロナ禍を経て定着したテイクアウト・デリバリー需要や、急増するインバウンド観光客への対応など、現代の消費者のライフスタイルや価値観は劇的に変化しています。
この市場の変化を捉えきれず、売上が減少しているにもかかわらず旧来のメニューやサービスに固執すれば、お店は時代から取り残され、お客様の足は自然と遠のいてしまいます。
特に小規模飲食店のオーナーシェフなどが陥りがちなのが、心理的な“経営疲れ”です。
売上へのプレッシャー、資金繰りの不安、人材育成の悩みなどを誰にも相談できずに一人で抱え込むと、自分でも気付かぬうちに心身が疲弊し、正常な経営判断ができなくなっていることがほとんどです。
その結果、必要な投資を「面倒」と感じたり、スタッフや店舗の細部にまで気を配る余裕がなくなったりします。この心理的な疲弊が、チェックリストで挙げた数々の危険なサインの引き金となります。


ここまで読み進め、自店舗の状況に危機感を覚えたとしても、悲観的になるのはまだ早いかもしれません。
ここでは、次の未来へ繋げる「売上改善の見込みがあるケース」と「早めの撤退が賢いケース」の2つを解説します。
まだ立て直しの可能性があるのは、お店に明確な「強み」が残っている場合です。
たとえば、「リピート率が極端に落ちていない」、「グルメサイトの口コミ評価が高い」、「SNSでのエンゲージメントが良好」といった資産があれば、それを軸に売上改善が見込めます。
コンセプトを再度見直し、数値目標の再設定を行い、その強みに集中して施作を行うことで、V字回復をする店舗も少なくありません。
「運転資金が3ヶ月分を切っている」「市場のニーズとコンセプトが乖離してしまった」「経営者自身の心身が限界」などの場合は、無理に営業するよりも、早期の撤退が最も賢明な判断です。
赤字を垂れ流し続ければ負債が膨らみ、自己破産など今後の人生に大きな支障をきたす可能性があります。
しかし、店舗に価値があるうちに「居抜き売却」を選択すれば、通常数百万かかることもある原状回復費用を支払う必要がなくなり、さらに内装や設備を現金化できることも。これはネガティブな撤退ではなく、次へのステップに進むための戦略的な事業転換です。


ここからは、早期撤退を決断し、「居抜き売却」を検討した時に、売却で損しないために必要な3ステップを紹介します。
「店舗の価値を最大化し、有利な条件、かつ納得のいく費用感で売却するか」が鍵となります。
まずは買い手の視点に立ち、「この店舗で明日からでも営業したい」と思わせる状態に整えることが第一歩です。
日々の清掃を徹底し、店内を清潔で明るい印象に保ちましょう。その上で、厨房機器や什器が正常に作動することを確認し、型番や購入時期をリスト化しておきましょう。
また、賃貸借契約書や各種許認可証などの関連書類を整理・準備しておくことで、交渉から契約までをスムーズに進めることができ、買い手の信頼も得られます。
店舗売却において、売却活動を始めるタイミングは極めて重要です。資金が完全に尽きてからではなく、最低でも3ヶ月分以上の運転資金が残っている余裕のあるうちに交渉を始めましょう。
運転資金が底をついた状況下での売却は、買い手に「早く売りたい」という悟られてしまい、不本意な価格での売却を余儀なくされるケースもあります。
そうならないためにも、閉店予定日の3ヶ月~半年前から行動を開始することで、複数の購入希望者とじっくり交渉する余裕が生まれ、最も良い条件を引き出しやすくなります。
「自店舗の適正な売却価格はいくらなのか」「最適な売却のタイミングはいつなのか」そして「最終的にどれくらいの費用がかかるのか」といった疑問に、経営者自身が正確な答えを出すのは非常に困難です。
ここで重要になるのが「居抜き売却」に関する正しい知識です。居抜き売却では、主に仲介手数料が発生しますが、業者によって料率や最低手数料、その他諸費用が異なります。
しかし、最も大きなポイントは、居抜き売却が成立すれば、通常であれば数百万円単位で発生する「原状回復工事費用」が不要になるという点です。そのため、仲介手数料を支払ったとしても、解体費用を支払うより手元に多くの資金を残せる可能性が非常に高くなります。
私たち店舗売却ドットコムは、一都三県の飲食店売却に特化した専門家です。「売却について全然わからない」「まずは費用について詳しく知りたい」という方のためにも、無料で相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
閉店する飲食店には、固定費の圧迫、人材の流出、販促活動の停止など、複数の危険なサインがあることをお分かりいただけたと思います。
まだ立て直せる可能性がある場合は、経営数値を徹底的に見直し、明確な目標を掲げて売上改善に臨んでみましょう。
万が一、「余裕資金があるうちに早めに撤退した方がいい」と判断された場合は、原状回復費用を抑え、資産を現金化できる「居抜き売却」が最も賢明な選択肢です。
これから飲食店を開業する方も、万が一の出口戦略として「居抜き売却」という手法と、その費用構造を覚えておくことで、リスクを抑えた経営判断に繋がります。
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