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【2025年最新】飲食店の閉店する時の手続き|必要なものや費用を解説

投稿日:2025/10/27

飲食店の閉店を考えている方で、以下のようなことを知りたい方はいませんか?

  • 「閉店に必要な手続きを知りたい」
  • 「閉店コストをを最小限に抑えたい」

これまで営業してきた飲食店を閉店するという決断は、非常に重く、苦しいものだったかと思います。

しかし、その決断と同時に、「煩雑な行政手続き、解体・解約費用、従業員や取引先への対応など、何からどういうふうに手をつければいいかわからない」という方は少なくありません。

本記事では、2025年最新の情報に基づき、閉店までの具体的なスケジュール、必要書類、そして閉店時にかかるコストを削減できる「居抜き売却」のノウハウまで、徹底的に解説します。

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飲食店閉店までのスケジュール|いつから動き出せばいい?

飲食店の閉店は、法務・労務・財務が複雑に絡み合う、極めて計画性が求められる事業活動なので、遅くとも閉店希望日の半年前からの準備が望ましいです。

ここでは、閉店までのプロセスを、大きく「6ヶ月前」「3ヶ月前」「1ヶ月前」の3つに分け、どのようなステップを踏むべきかを見ていきましょう。

6ヶ月前:賃貸契約や居抜き売却の検討開始

解約希望日の6ヶ月前のこの時期がもっとも重要な時期です。ここでの判断が最終的に手元に残る資金を大きく左右してくるので、まずは「賃貸借契約書」を精査しましょう。

賃貸借契約書の確認すべき4つのポイント

  1. 解約予告期間:通常3〜6ヶ月が一般的だが、何ヶ月前に貸主へ通知する必要があるかを確認。
  2. 原状回復義務の範囲: 「スケルトン(建物の骨格だけの状態)」での返還が義務付けられているか、あるいは内装を残したままで良いかを確認。
  3. 保証金(敷金)の償却条件: 解約時に保証金の何割が償却されるかを確認。
  4. 居抜き譲渡の可否: そもそも第三者へ店舗を譲渡(居抜き売却)することが契約上許可されているかの確認。

このように契約内容を把握した上で、「居抜き売却」か「スケルトン退去」かの方針を決定します。

一般的に原状回復費用は数百万円の費用が発生するので、居抜き売却が可能な場合は、内装や設備などを資産として売却した方が手元にお金を残せる確率が非常に高いです。

3ヶ月前:従業員・仕入先への通知、売却活動本格化

決定した方針に基づき、従業員・取引先などの関係者への閉店通知や行動を始める段階です。

  • 従業員への閉店告知
    • 法律(労働基準法第20条)で定められた「解雇予告(30日前)」を遵守するだけでなく、信頼関係を維持するためにも、この時期に行うことをおすすめします。
    • 「最終営業日、解雇日、再就職支援の有無など」を明確に伝え、従業員の不安を少しでも和らげることで、不要な労務トラブルを未然に防止。
  • 仕入先や取引先
    • 発注量の調整や最終的な支払いサイトの確認。

もし、6ヶ月前に「居抜き売却」を選択した場合は、このタイミングで専門業者と媒介契約を結び、売却活動を開始させましょう。

水面下で買い手を探し始めることで、営業中の売上を維持しながら、より良い条件で交渉できる可能性が広がります。

1ヶ月前:行政への届出、光熱費・リース等の解約準備

閉店に向けた最終的な事務手続きを進める段階になります。

「行政への各種届出」は、実際に提出するのは閉店後になる書類も多いですが、以下のような必要書類のリストアップと記入をこの時期に済ませておきましょう。

  • ・税務署
    • 個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)、所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • ・保健所
    •  廃業届、営業許可証の返納
  • ・消防署
    •  防火対象物廃止届出書
  • ・警察署
    •  深夜酒類提供飲食店営業廃止届

この際に、電気・ガス・水道のインフラや、おしぼり・ゴミ回収・厨房機器などの解約手続きも並行して進めましょう。

特に、リース契約は中途解約すると、違約金や残債の一括支払いを求められるケースが多いため、契約内容の再確認が必須です。

なお、「居抜き売却について相談してみたい」という方は、お気軽にご相談ください。

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閉店に必要な書類一覧|行政・税務の手続きに注意

飲食店の閉店手続きの際、複数の行政機関に書類などの届出を提出期限までにしなくてはいけません。

そのため、ここでは以下の3つに分けて、個人事業主と法人で必要な主要書類を解説しますが、状況によって異なるので、あくまで参考程度で見てください。

  • 税務署関連
  • 保健所・消防署
  • 雇用関係

税務署関連:廃業届・青色申告取りやめ届

税務関連の届出は、事業の終了を公的に確定させるための手続きとなり、「個人事業主」か「法人」によって提出する書類が異なります。

個人事業主の場合

  • ・個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)
    • 提出期限:廃業の事実があった日から1ヶ月以内
    • 備考:事業を正式に終了させるための最も重要な書類
  • ・所得税の青色申告の取りやめ届出書
    • 提出期限:廃業する年の翌年3月15日まで
    • 備考:青色申告を行っていた事業者のみ必要
  • ・事業廃止届出書(消費税関係)
    • 提出期限:速やかに
    • 備考:消費税の課税事業者だった場合のみ提出が必要
  • ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
    • 提出期限:廃止の事実があった日から1ヶ月以内
    • 備考:従業員を雇用していた場合に提出が必要

法人の場合

法人の場合は「廃業」ではなく、会社法に基づく「解散」および「清算」という法的なプロセスを踏むので、登記や公告などの手続きが必須となります。

  • ・解散手続き
    • 株主総会で解散決議を行う
    • 法務局で「解散および清算人選任の登記」を行う
    • 税務署へ「異動届出書」を提出(解散の旨を届け出る)
  • ・清算手続き
    • 官報での解散公告(2ヶ月以上)
    • 清算人の選任
    • 債権債務の整理・残余財産の分配
    • 決算・申告(法人税・消費税など)を実施
  • ・清算結了手続き
    • 株主総会で決算報告の承認を受ける
    • 法務局で「清算結了登記」を行う
    • 税務署等へ「異動届出書(清算結了)」を提出

保健所・消防署:営業許可返納・使用終了届など

飲食店の営業に必須だった許認可は、廃業時に返納または廃止の届出が義務付けられています。

  • □保健所
    • ・廃業届および営業許可証の返納
      • 提出期限:廃業後10日以内が一般的(※)
      • 備考:営業許可を受けた保健所の窓口へ提出
  • □消防署
    • ・防火対象物廃止届出書
      • 提出期限:事前に管轄の消防署へ要確認
      • 備考:建物の使用者が変わるため、廃止届の提出が必要
  • □警察署
    • ・深夜酒類提供飲食店営業廃止届出書
      • 提出期限:廃業後10日以内
      • 備考:深夜0時以降に酒類を提供していた場合のみ必要

※保健所への提出期限は、自治体によって異なる場合があるので、必ず管轄の保健所の公式サイトなどで確認してください。

雇用関連:社会保険・雇用保険の資格喪失届

従業員(アルバイト・パート含む)を一人でも雇用していた場合、社会保険および雇用保険の適用事業所ではなくなったことを届け出る必要があります。

提出期限が年金事務所なら5日以内、ハローワークなら10日以内と、非常にタイトなため、優先して対応しましょう。

  • □年金事務所
    • ・健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届
      • 提出期限:廃業の事実があった日から5日以内
    • ・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
      • 提出期限:従業員の退職日の翌日から5日以内
  • □ハローワーク
    • ・雇用保険 適用事業所廃止届
      • 提出期限:廃業の事実があった日の翌日から10日以内
    • ・雇用保険 被保険者資格喪失届
      • 提出期限:従業員の退職日の翌日から10日以内

これらの手続きは、従業員が失業手当や国民健康保険へ切り替える際に必要な重要書類なので、速やかに手続きをしましょう。もし、不明点が多い場合には、社会保険労務士へ相談するのも一つの手です。

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飲食店を閉店するステップ

閉店作業をする際、思い付いた順にやっていくと、手続きし忘れや提出期限が過ぎてしまうことも。

そうならないためにも、大きく以下の3つに分けたステップで整理していきましょう。

  1. 契約書確認と原状回復or居抜き売却の判断
  2. 退去・届出・精算などの事務手続き
  3. 売却・原状回復・引渡しの完了

ステップ①契約書確認と原状回復or居抜き売却の判断

閉店の際に、「原状回復」そして借主に戻すのか、「居抜き売却」をして次のテナントに引き渡すのか判断をしなくてはいけません。

そのためにも、先述したとおり、必ず「賃貸借契約書」の「解約予告期間」「原状回復義務の範囲」「居抜き譲渡の可否」の条項を明確に把握しましょう。

その契約内容を把握した上で、まずは、「原状回復と居抜き売却のどちらの方が閉店コストがかかるのか」を洗い出しましょう。

  • 原状回復(スケルトン退去)
    • 閉店コスト = 解体工事費 + 予告期間分の賃料
    • 内装や設備をすべて撤去し、建物の躯体だけの状態に戻す方法で、数百万円単位の費用がかかる。
  • 居抜き売却
    • 閉店コスト = 予告期間分の賃料 - 造作譲渡代金
    • 内装や設備を次のテナントに資産として売却する方法。解体工事費をゼロにできる上、売却益を得られる可能性がある。

ステップ②退去・届出・精算などの事務手続き

次は、さまざまな関係所との調整や法的な手続きをしていく段階に入ります。ステップ①のどちらかの方法で手続きも異なりますが、基本的には以下のような手続きがあります。

  • ・関係者への通知・調整
    • 貸主(物件オーナー): 解約予告通知書を正式に提出する。居抜き売却の場合は、後継テナントの紹介と賃貸契約の承諾交渉も行う必要あり。
    • 従業員: 雇用契約の終了に関する通知と手続きを進める。
    • 取引先・顧客: 閉店日を伝え、仕入れの停止や売掛金・買掛金の精算を行う。
  • ・各種契約の解約・精算
    • 電気・ガス・水道といったインフラから、通信回線、POSシステムや厨房機器のリース、レンタルおしぼりやBGMサービスに至るまで、店舗運営に関わる全ての契約をリストアップし、解約手続きを進める。
  • ・行政手続き
    • 保健所、税務署、消防署、警察署、年金事務所、ハローワークなど、事業に関わるすべての行政機関へ、事業の廃止を届け出る。

これらの事務処理は多岐にわたるため、抜け漏れがないようにも、「◯日にはこの手続きをする」など、きちんとスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

ステップ③売却・原状回復・引渡しの完了

こちらもステップ①で決定した方法により、動きが異なるので、原状回復と居抜き売却のそれぞれでみていきましょう。

原状回復

店舗の厨房器具や設備などを撤去し、選定した解体業者による内装の解体工事が開始されます。

工事完了後は、貸主立会いのもとで、「契約書通りの状態になっているか」最終確認が行われます。この際に、産業廃棄物が適正に処理されたことを証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)も必ず受け取りましょう。

居抜き売却

造作譲渡契約を締結した買主に対し、店舗の引き渡しを行います。

厨房機器の動作確認や備品リストを共同で照合し、トラブルがないよう丁寧に引き継ぎをしましょう。すべての引き継ぎが完了したら、売買代金の入金の確認も忘れずに。

そして、どちらのケースでも最終的には、貸主へ鍵を返却しなくてはなりません。これにより物件の明け渡しが完了し、後日、保証金から償却分や未払い賃料が差し引かれた額が返還され、賃貸借契約に関するすべてのプロセスが終了します。

閉店にかかる費用と節約術|居抜きでコスト削減!?

飲食店の閉店には、事業者が想定している以上の費用が発生することも少なくありません。

閉店を決断する前の段階で、費用の全体像と相場を正確に把握し、コストを下げるための具体的な戦略を立てることが極めて重要です。

主な費用:賃料・原状回復・従業員清算・備品処分

閉店時に発生する主な費用は5つありますが、特に「原状回復工事費」が閉店コストの大半を占めます。

  1. 原状回復工事費:100万~500万円以上
    1. 賃貸借契約書で「スケルトン返し」が義務付けられている場合、内装や設備をすべて解体・撤去し、建物の躯体だけの状態に戻す必要があります。
    2. 費用は店舗の規模や内装、設備の重さによって大きく変動しますが、坪単価で10〜20万円が相場です。
  1. 解約予告期間中の賃料(空家賃):数十万~数百万円
    1. 契約書で定められた期間(通常3~6ヶ月)は、売上がない状態で家賃を支払い続けなければなりません。
  1. 従業員への支払い
    1. 解雇する従業員に対し、未払いの給与や、30日前に解雇予告をしなかった場合「解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)」の支払い義務も生じます。
  1. リース・レンタル機器の違約金
    1. POSレジや厨房機器などをリース契約している場合、中途解約には残りのリース料を一括で支払う必要があります。
  1. 厨房機器・什器の処分費用:10万~100万円

節約のカギは「居抜き売却」+「プロへの無料相談」

節約のカギは「居抜き売却」+「プロへの無料相談」

上記のように、通常のスケルトン退去では、数百万単位の費用がかかってしまうので、「居抜き売却」と簡単に比較してみました。

  • スケルトン退去: 【支出】原状回復費 + 【支出】空家賃 = 大きなマイナス
  • 居抜き売却: 【収入】造作譲渡代金 - 【支出】空家賃 = プラスの可能性

さらに、居抜き売却には以下のようなメリットもあります。

  • メリット①: 高額な原状回復工事費がゼロになる。
  • メリット②: 価値が残っている内装・設備を資産として売却できる(造作譲渡代金)。
  • メリット③: 厨房機器や什器の産業廃棄物としての処分費用が不要になる。
  • メリット④: 解約予告期間中に売却できれば、無駄な空家賃の発生を抑えられる。

ただし、ご自身一人で居抜き売却をしようとしても、煩雑な手続きはもちろん、貸主との交渉、次のテナント探し、法的リスク、契約書の作成など、多岐にわたる専門的な業務があるので、すべてを一人でやるのは現実的には非常に難しいです。

そこで重要になるのが、閉店を決断する前に「飲食店の居抜き売却に特化した専門家に相談する」ことです。

閉店まで時間がない中、専門家に相談せず、一人で悩んだ結果、スケルトン退去をしてしまい、「あの時はやくから相談しておけばよかった」と後悔してしまう方もいらっしゃいます。

まだ、閉店すると決断していない方でも、

  • 「うちのお店はどれぐらいの資産価値があるんだろう」
  • 「賃貸借契約書には現状戻しと書いてあるが実際はどうなのか」

などの疑問がありましたら、まずは専門家への無料相談をご検討ください。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
居抜き売却を検討している方はもちろん、居抜き物件の購入したい方は、お気軽にご相談ください。

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株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。