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【開店前だからチェック】失敗しても「売却しやすい店舗」にする10の設計

投稿日:2026/02/20

飲食店は、うまくいかなかった時に「資産として売却する」という“出口戦略”をとることが難しいケースがあります。

理由はシンプルで、居抜き可否・原状回復義務・設備の状態といった“出口”を決める要素が、開店前の契約と設計でほぼ確定してしまうからです。

本記事では、万一の撤退でもダメージを最小化できるよう、開店前に押さえるべき「売却しやすい店舗」の10の設計をチェックリストで整理します。


まず知っておきたい!飲食店の「店舗売却」は“居抜きできるか”で決まる

店舗売却が成立するかは、集客力や味の評判以前に、「次のテナントがそのまま使える状態(居抜き)で引き渡せるか」が重要です。

居抜きとは?

居抜きとは、前のテナントの内装・厨房設備・空調などを残した状態で物件を貸借することを指します。

そして、この内装や設備に資産価値をつけ、次の借主に売却することを「造作譲渡」と呼びます。

一般的に、飲食店の造作譲渡額の相場は100万円〜300万円程度ですが、物件の立地や内装、設備の状態で大きく異なります。

詳しく知りたい方は、飲食店の居抜き売却とは|メリットやデメリットを徹底解説 を参考にしてください。

原状回復が重いと、売却より先にお金がかかる

もし居抜きでの引き継ぎができず、契約通りに「原状回復(スケルトン戻し)」を行う場合、多額の費用がかかります。

一般的な飲食店の原状回復費用は、坪あたり5万〜10万円が目安です。 例えば30坪の店舗の場合、解体工事だけで150万〜300万円の現金が出ていく計算になります。

経営が悪化していて、資金がない状態で原状回復工事をする場合、最悪、自己破産してしまう可能性も。

「売却してプラスで終わる」か「解体費でマイナスになるか」は、開店前の設計で大きく変わります。  

開店前に要注意!契約と設備投資は後から変えにくい

一度コンクリートを流し込んだ床や、貸主と捺印した賃貸借契約書を、開店後に変更することはほぼ不可能です。 

特に「原状回復義務」の条項や「解約予告期間」は、撤退時の“スピード”と“コスト”を決定づけます。

内装デザインやメニューは後から変えられますが、契約内容と内装・設備を開店後に変更するのは難しいため、あらかじめ注意を払っておくことで、万が一のリスクを減らすことができます。

物件契約時、家賃などの固定費に目が行きがちですが、売却となった場合は、以下の条項が最重要チェックポイントとなります。

店を引き継ぐには、基本「貸主のOK」が必要

店を引き継ぐには、基本「貸主のOK」が必要

法律上、賃借権の無断譲渡は禁止されており、貸主であるオーナーの承諾なしに勝手に店舗を売ることはできません。

「居抜きで売りたい」と希望しても、貸主が「次は飲食店以外を入れたいのでスケルトンに戻してほしい」と言えば、それに従わざるを得ないケースがほとんどです。

したがって、もし可能であれば、特約への追加が出来ると安心です。

名義変更・造作譲渡・承諾料

造作譲渡を貸主が認める条件として、「名義変更(現在の賃貸借契約を引き継ぎ)」や「承諾料」、「礼金の積み増し」を求められるケースもあります。 

承諾料の相場は、賃料の1〜3ヶ月分や、一律30万〜100万円など貸主により様々で、 売却時に「造作が200万円で売れた」と思っても、そこから「承諾料100万円」を引かれると手残りは減ってしまいます。

このコスト負担が「売主であるご自身」もしくは、「買主である次のテナント」なのか、契約書または重要事項説明書で明確にしておきましょう。 

契約書の作成には専門的な知識はもちろん、法的・税務面など複合的な要素を把握しておかなくてはいけません。

店舗売却ドットコムでは、これらの契約書のサポートはもちろん、次のテナント候補を探すサポートもしています。

店舗売却への無料相談はこちらから

解約予告・違約金・保証金:撤退時の出費を見える化する

解約予告・違約金・保証金:撤退時の出費を見える化する

撤退を決めてから実際にお店を閉めるまでには、時間を要すだけでなく、予想以上に出費がかかることも。

そのためにも、先に“撤退時の出費”を把握しておくことが大事です。

  • 解約予告期間: 店舗物件は3〜6ヶ月前の予告が一般的なので、閉店を決意しても、半年分の家賃(空家賃)を払い続けるリスクがある。
  • 違約金: 開業後1〜2年以内の短期解約の場合、違約金が発生する契約になっていないか確認。

保証金償却: 解約時に保証金(敷金)から無条件で引かれる「償却」のパーセンテージを確認し、実際に戻ってくる現金を把握しておく。

ここからは、店舗設計から法務・デジタル資産まで、具体的に「売れる飲食店」にするための10のチェックポイントを解説します。

①居抜き・造作譲渡ができるか、書面で確認する

①居抜き・造作譲渡ができるか、書面で確認する

何かトラブルがあった際、「口約束していた」といっても、契約書に書かれていなければ無効になるケースがほとんどです。

賃貸借契約書の特約事項に、具体的には以下の主旨が含まれるよう交渉しましょう。

  • 「甲(貸主)の承諾を得た場合、造作譲渡を認める」
  • 「乙(借主)が後継テナントを斡旋し、契約が締結された場合は原状回復義務を免除する」 など

とはいえ、賃貸借契約書の特約事項に造作譲渡の主旨が記載されていなかった場合でも、交渉次第では、貸主からの承諾を得られる場合もあります。

ただし、専門家なしでの交渉は逆にトラブルを招く可能性が高いので、まずは店舗売却の専門家に相談することが鍵になります。

②最悪はスケルトン退去:その前提で考える

万が一、居抜き先が見つからなかった場合に備え、「解体しやすい内装」にしておくことも一つの手です。

  • 厨房の床: コンクリートで嵩上げする「湿式厨房」は解体費が高額になります。
    防水シート等を用いた「乾式厨房」を採用する、床上げ区画を最小限に抑える、といった対策をすることで解体費用を抑えることができますが、清掃容易さや、衛生状態の維持には注意が必要となります。
  • 壁・天井: 既存の下地を活かした「表層替え(クロス貼り替えや塗装)」にとどめることで、初期投資と撤退コストの両方を圧縮できます。

③排気・給排水など、動かしにくい部分を先に押さえる

③排気・給排水など、動かしにくい部分を先に押さえる

飲食店の業態転換でよく問題となるのが、「排気風量」と「排水容量」です。ここが弱いと、買い手が「軽飲食」に限られ、売却のターゲットが狭まります。

  • 排気ダクト: 将来的に重飲食(焼肉、中華など)が入れるよう、太めのダクト径や静圧の高いファンを選定しておくと、物件の資産価値が上がります。
  • グリストラップ: 清掃・管理がしやすい位置に設置し、容量に余裕を持たせます。

④内装は“別の業態でも使える形”にしておく

個性的すぎる内装は、買い手候補が価値を感じにくいケースが多いため、買い手がつかないことも。

シンプル・オーソドックスな内装だと、買い手が見つかりやすいです。

  • レイアウト: 長方形や正方形に近い、シンプルな客席配置にする。
  • 家具: 固定のベンチシートよりも、移動可能なテーブル・椅子を選ぶ。

⑤厨房機器は中古で売れやすいものを選ぶ

⑤厨房機器は中古で売れやすいものを選ぶ

厨房機器は、単なる調理道具ではなく「換金可能な資産」とも言えます。

また、どんなに良いものでも清掃していない場合には価値がつきづらくなるので、清潔に保っておくことも重要です。

  • メーカー: ホシザキ、マルゼンなど、メンテナンス網が充実し、中古市場で人気のある国内主要メーカーを選ぶ。
  • サイズ: コールドテーブルや製氷機は、なるべく規格サイズを選定しましょう。特注サイズや異形サイズは、他店で流用できないため買取価格がつきにくいです。 

⑥リースは要注意:譲渡や残債の扱いまで決める

リース契約中の設備は、所有権がリース会社にあるため、勝手に売却・譲渡することはできません。

リース設備を確認せずに売却してしまい、売却後にトラブルに発展するケースが後を絶たないので注意が必要です。

  • 契約確認: 契約期間と中途解約条項を確認。
  • 出口戦略: 売却時に「残債を一括返済して買い取る」か、「買い手にリース契約を引き継ぐ(再審査が必要)」かをシミュレーションしておきましょう。

⑦保健所・消防など、許可まわりを整理しておく

⑦保健所・消防など、許可まわりを整理しておく

法令違反の状態の場合、買主が営業許可を取得するにあたり、手直しの工事が発生するため、その分売却金額に交渉が入ることがあります。

特に2021年の改正食品衛生法施行により、基準が厳格化しています。

  • 手洗い器: 厨房内の手洗い器は、蛇口に触れずに止水できる「再汚染防止構造(センサー式、レバー式等)」が必須。旧式の回転蛇口では新規許可が下りないため、最初から適合品を入れておく必要がある。
  • 区画: 客席と厨房を隔てるスイングドアやウエスタン扉を確実に設置する。

⑧レシピ・仕込み・発注・シフトを“型”にする

「店主しか作れない」「店主の勘で発注している」飲食店は、仕組み化できていないので、事業譲渡(M&A)での売却は難しい傾向にあります。

  • マニュアル化: レシピ(分量・手順)、発注先リスト、清掃手順を文書化・データ化する。
  • 再現性: アルバイトでも回せる仕組みを作っておくことで、異業種参入企業や投資家への売却チャンスが生まれる。

⑨予約・SNS・Google等は「引き継げる状態」にしておく

⑨予約・SNS・Google等は「引き継げる状態」にしておく

現代の店舗売却において、GoogleマップのクチコミやInstagramのフォロワー数は、実質的な「のれん代」として評価されるケースがあります。

  • Googleビジネスプロフィール: 個人のGoogleアカウントで作成せず、店舗管理用のアカウントで作成し、権限譲渡ができる状態にしておきましょう。

※アカウント自体の売買は規約違反ですが、正規の手順での「メインオーナー権限の譲渡」は可能。  

  • アカウント保全: 規約違反によるアカウント凍結リスクを避けましょう。デジタル資産が消えると、売却価格に大きく響くこともあります。

⑩売却用の資料を事前準備(設備・図面・写真・収支ひな形)

いざ撤退となると、精神的にも時間的にも余裕がありません。一例ですが、以下の資料が揃っているだけで、査定スピードが上がり、早期売却につながります。

  • 契約書:賃貸借契約書、リース契約書など。
  • 竣工図面: 平面図、設備図(電気・ガス・給排水)、立面図など一式。
  • 設備リスト: 型番、年式、購入価格をまとめたリストと保証書。
  • 隠蔽部の写真: 工事中に隠れてしまう配管や防水処理の写真を撮っておくと、施工品質の証明になります。

本記事では、開店前だからこそ確認できる、失敗しても「売却しやすい店舗」にする10の設計を解説しました。

店舗売却も考慮とした設計は、決して「失敗への準備」ではありません。

行列が絶えないお店になり移転を考えたり、再開発などで店舗の価値が上がったりと、売却理由は様々です。

とはいえ、売却だけを意識した店舗づくりにしてしまうと本末転倒になってしまうこともあるので、ここで解説した内容は頭の片隅に入れておくだけでも、経営の柔軟性が劇的に高まります。

「もしもの時」は誰にでも訪れます。その時に慌てて大切な資産をゼロにしないために、契約と設計の段階から「出口」を意識しましょう。 

店舗売却ドットコムでは、開業前の契約チェックから、万が一の際の査定・売却サポートまでしています。

万が一のことがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。店舗売却に詳しいプロが無料相談を受け付けています。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
居抜き売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。