ページの上部へ

お役立ち情報USEFUL INFORMATION

おすすめ

お役立ち情報

【2025年最新】造作譲渡を交渉する時のポイント|基本事項や損をしない方法を解説

投稿日:2025/09/19

飲食店の閉店や移転を検討する際、避けて通れないのが「造作譲渡の交渉」です。

しかし、多くの経営者の方が、「譲渡価格の交渉のコツは?」「貸主との協議はどのように進めるべきか?」といった専門的な課題に直面します。

本記事では、造作譲渡の交渉を進める前に押さえておきたい基本情報から、よくある失敗、具体的な準備とコツ、おすすめの業者まで網羅的に解説します。この記事を読めば、交渉の主導権を握るための知識が身につきます。


造作譲渡の交渉とは?まず押さえるべき基本

造作譲渡における交渉とは、単なる価格の駆け引きだけではなく、「貸主(建物オーナー)」「譲渡側(現テナント)」「譲受側(次期テナント)」という三者の利害を調整し、スムーズな合意形成を図るプロセスのことをいいます。

交渉を有利に進めるためにも、まずは「そもそも造作譲渡とは何か?」という基本を正確に理解しておくことが重要です。

造作譲渡とは、貸借人(テナント)が自己の費用で設置した店舗の内装・設備・什器など(造作)の所有権を、次に入るテナントへ有償で譲渡する取引のことです。

通常、賃貸物件を退去する際は、設置した造作をすべて撤去し、入居時の状態に戻す「原状回復」の契約で定められています。貸主の承諾を得ることを前提に、造作譲渡を行うことで、原状回復義務を免れることができ、かつ店舗資産を現金化するための有効な手段となります。

造作譲渡のさらに詳しい基本的な仕組みや、居抜き物件などの違いについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ご参照ください。

造作譲渡の交渉を単なる「価格決め」と軽視すると、深刻な金銭的・法務的トラブルに発展するリスクがあります。

たとえば、引渡し後に「空調が効かないなどの設備の不具合」「リース品の混入」といったトラブルが発生し、契約内容を明確にしていなかったため、あとから修繕費用や所有権などの問題が発覚するケースも少なくありません。

このような予期せぬトラブルを回避し、安心して交渉を進めるためにも、専門家のサポートは不可欠です。店舗売却ドットコムでは、飲食店に特化して造作譲渡を含む店舗売却のサポートをしております。

造作譲渡の交渉でよくある失敗とその原因

造作譲渡の交渉を成功に導くためには、よくある失敗パターンとその根本となる原因を理解することが重要です。

ここでは、多くの経営者の方が陥りがちな3つの失敗例を解説します。

 ①言い値で決めてしまう|価格設定の落とし穴

最も多い失敗が、買主や仲介業者から提示された言い値を鵜呑みにしてしまうケースです。

この原因は、自店舗の資産価値に対する理解不足にあります。厨房機器の減価償却状況、人気メーカー・機種の市場価値、内装の汎用性やデザインといった客観的な評価基準を知らないため、提示された金額が適正なのか判断できないためです。

また、退去日が迫っていることによる「早く売却したい」という焦りから、不利な条件にも関わらず、受け入れてしまうケースもあります。

②契約内容の確認不足|曖昧な合意のリスク

2つ目は、口約束や曖昧な合意のまま契約した結果、後日トラブルに発展するケースです。

たとえば、口約束や契約書に「厨房機器一式」といった大雑把な合意をした結果、「どの機器が含まれ、どれが含まれないのか」「リース品はどれか」「引き渡し時の状態はどうあるべきか」などの細かい部分が抜けてしまった例です。

また、契約書の専門用語をあまり理解せず、署名・捺印してしまうことで、前述したような「言った、言わない」の法的な紛争に発展するリスクを自ら抱え込むことになってしまいます。

③交渉相手のニーズを把握していない|一方通行な交渉で決裂リスクも

造作譲渡の際に、相手の状況やニーズを無視して、ご自身の希望条件を主張しすぎた結果、交渉が決裂するケースです。

確かに自身の希望条件を伝えることは重要ですが、「とにかく自分に良い条件になるように」ということだけを考えてしまうと、交渉相手に対する視点や配慮が欠けてしまいがちです。

その結果、せっかく進めていた造作譲渡計画も振り出しに戻ってしまい、最悪の場合、買い手が見つからず、原状回復することになってしまったケースもあります。

交渉を有利に進めるための具体的な準備とコツ

造作譲渡の交渉は、準備段階でその成否の8割が決まると言っても過言ではありません。

ここでは、交渉の主導権を握り、自社の利益を最大化するための具体的な準備と実践的なコツを解説します。

譲渡価格の根拠を持つ|厨房機器・内装の評価

譲渡価格は、交渉における一番重要な論点です。感情的な希望額ではなく、客観的かつ論理的な根拠を提示することが、有利な条件を引き出すために重要です。

価格算定の基礎となるのは、「簿価(帳簿価額)」と「時価(市場価値)」という2つの視点です。

  • 簿価の算出: まずは固定資産台帳を確認し、各厨房機器や内装設備の取得価額と減価償却の状況を把握します。これは、税務上の資産価値を示す最低ラインの根拠となります。
  • 時価の把握:簿価はあくまで会計上の数値であり、実際の市場価値とは異なります。人気メーカーの厨房機器(例:ホシザキ、マルゼン等)、メンテナンス状況、耐用年数などを考慮し、中古市場での相場を調査しましょう。

内装に関しては、汎用性の高いデザインか、特定の業態に特化しているかによって評価が大きく変動します。そのため、次のテナントが欲しがるような価値を具体的に提示できると、交渉力が高まります。

譲渡側・譲受側でズレが起きやすいポイント

交渉決裂や後のトラブルを防ぐには、当事者間で認識のズレが生じやすいポイントを事前に理解し、明確な合意形成を図るようにしましょう。

① 「残すもの・撤去するもの」の認識のズレ

「造作一式」という曖昧な表現がトラブルになりがちです。譲渡側は不要な食器や什器も引き取ってほしいと考える一方、譲受側は必要な設備のみを期待しているケースがほとんどです。

そのため、詳細な「譲渡対象リスト」を作成し、必ず契約書に添付しましょう。

このリストに、機器のメーカー、型番、年式、数量、そしてリース品か所有物かの区別を明記し、両者で確認・署名することで認識のズレを完全に防ぎます。

② 「すぐに使える状態」かどうかの認識のズレ

譲渡側は「現状有姿(そのままの状態)」での引き渡しを想定しますが、譲受側は「すぐに営業できる完璧な状態」を期待している場合があります。特に、ダクトの清掃状況やグリストラップの状態、機器の不具合は見解が分かれやすいポイントです。

対策としては、引き渡し前の動作確認を両者立ち会いのもとで行い、その際の状況を写真や動画で記録しておくことが有効です。

また、契約書に「引き渡し後の修繕義務は譲受側が負う」といった特約を明記することも検討しましょう。

③ 「譲渡価格」の根拠に対する考え方のズレ

譲渡側は、これまでの投資額や店舗への愛着から価格を高めに見積もる傾向がありますが、譲受側は、あくまで中古品として、可能な限り安く購入したいと考えている場合が多いです。

この根本的な考え方のズレを埋めるのが、前述した客観的な評価データになります。

 

第三者である専門業者の査定書や、同エリア・同規模店舗の取引事例などを提示することで、合理的な議論に導くことができます。

飲食店オーナーが交渉で注意すべきこと3つ

飲食店の造作譲渡の際に特有の交渉ポイントが存在します。以下の3つにまとめたので見ていきましょう。

① 飲食店の造作は「希望価格」で売れないことが多い

店舗を立ち上げた際に、多額の初期投資をかけたとしても、それがそのまま譲渡価格に反映されるわけではありません。

特に、業態に特化した内装や特殊な厨房機器は、次のテナントにとって価値がない(むしろ撤去費用がかかる)と判断されるケースが多くあります。

冷静かつ客観的に市場価値を見極め、過度な期待は持たないことで、現実的な交渉ができます。

② 飲食設備や店内の情報を整理せずに交渉しない

譲受希望者からの「電気容量はどのくらいですか?」「ダクトの排気能力は?」といった専門的な質問に即答できないと、信頼を損ない、交渉が不利になる可能性も。

設備の仕様書、点検記録、修繕履歴といった資料を事前に整理し、一覧化しておきましょう。

そうすることで、スムーズな情報提供が可能となり、店舗の価値を正しく伝えることができます。

③ 飲食店の業態に合わない造作を押しつけない

たとえば、重飲食向けの強力な排煙設備が整っている物件に、カフェを開業したい譲受希望者が現れた場合、その設備は過剰なスペックと判断され、価値を感じてもらえません。

きちんと譲受希望者に事業計画をヒアリングし、その需要に合致する造作の価値を重点的にアピールするようにしましょう。

不要なものを無理に押し付けるような交渉は、破談の原因にもなりかねないので、注意して交渉しましょう。

専門業者に相談するメリットとは?

ここまで解説した通り、造作譲渡の交渉は多岐にわたる専門知識と交渉スキル、そして膨大な時間と労力を要します。

これらを営業しながら経営者お一人で担うことには限界があるだけではなく、リスクも伴います。こうした課題を解決するのが、専門業者の活用です。

飲食店に特化した専門業者なら、設備や内装の価値を的確に査定し、適正価格での譲渡を実現してくれます。

煩雑な交渉や契約リスクの対処も一任でき、本業に集中しながら安心して進められます。

数ある仲介業者の中から、どの業者を選べばいいか迷う方も多いと思います。特に飲食店オーナーの方には、「飲食店に特化した造作譲渡を仲介している業者」を選ぶことを強くおすすめします。

その点で、店舗売却ドットコムでは以下のような多くの強みを持っています。

  • ①【飲食店への専門性】 他業種を扱う総合的な不動産仲介ではなく、飲食店の造作譲渡・店舗売却に特化しています。エリアの特性、業態ごとの人気設備、地域の貸主様との関係性まで熟知した、飲食店のプロフェッショナルです。
  • ②【豊富な成約実績と独自のネットワーク】 長年にわたり蓄積された豊富な成約実績こそ、店舗売却ドットコムへの信頼の証です。また、独自のネットワークを通じて、出店意欲の高い譲受希望者へ迅速にアプローチできるだけではなく、自社での買取も行っているため、スピーディーに売却できる可能性も。
  • ③【透明性の高い手数料体系と伴走型サポート】 ご相談から査定、譲受希望者のご紹介まで費用は一切いただきません。成約時に初めて手数料をいただく完全成功報酬制のため、安心して無料でご相談いただけます。また、初回のご相談から契約完了まで、専任の担当者が責任を持ってサポートします。

造作譲渡や店舗売却に関するお悩みやご不安がございましたら、まずは無料相談をご利用ください。

本記事では、飲食店の造作譲渡を成功に導くための交渉のポイントを、具体的な準備や注意点と共に解説しました。

造作譲渡で損をしないためには、以下のようなポイントが非常に重要です。

  • 客観的な根拠に基づく譲渡価格の設定
  • 譲渡側・譲受側・貸主、三者のニーズの把握
  • 契約書に基づく譲渡範囲や条件の明確な合意形成

そして、これらの複雑なプロセスを円滑に進め、あなたの大切な店舗資産の価値を最大化するためには、信頼できる専門家の視点とサポートが最も合理的で確実な選択です。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
居抜き売却を検討している方はもちろん、居抜き物件を探している方は、お気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談
株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。