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居抜き物件の「造作譲渡料」とは|金額の決め方やポイントを紹介

投稿日:2026/02/13

店舗や事務所などを居抜きで売却・譲渡しようと考えたときに、重要なポイントとなるのが「造作譲渡料」や「造作譲渡金」です。

これらの費用について事前にしっかりと理解しておくことで、スムーズかつ納得のいく取引がしやすくなります。

本記事では、「造作譲渡料」「造作譲渡金」とは何かという基本から、金額をどうやって決めるのか、そして交渉を有利に進めるためのコツまでを詳しくご紹介します。


造作譲渡料(造作譲渡金)とは

造作譲渡料とは、店舗内の内装・設備・什器などを、前の借主(売り手)から新しい借主(買い手)へ引き継ぐ際に支払う「対価」のことです。

通常、賃貸物件を退去する際は、借りた時の状態に戻す「原状回復義務」が生じますが、貸主(オーナー)と次のテナントの合意があれば、内装や設備を残したまま引き継ぐことができます。

この際、残される資産の価値に対して支払われる金銭が造作譲渡料です。(造作譲渡金と呼ばれることもありますが、実務上では同義です)

譲渡対象になりやすいもの

具体的にどのようなものが「造作譲渡」の対象となるのか、項目別に見ていきましょう。

内装(床・壁・天井等)

内装(床・壁・天井等)

壁紙(クロス)、床材、天井、パーテーション、造り付けのカウンターなどが該当します。

特に飲食店の場合、床の「防水工事」や、天井裏の「排気ダクト設備」は新しく施工すると数百万単位の費用がかかるため、これらが綺麗な状態で残っていれば高い評価対象となります。

厨房設備

厨房設備

業務用冷蔵庫、コールドテーブル、製氷機、ガスレンジ、シンク、食洗機などです。

これらは法定耐用年数(設備によりますが一般的に6年〜8年)を目安に価値が算出されますが、メンテナンス状況や清潔感が価格を大きく左右します。

什器

什器

テーブル、椅子、券売機、POSレジ、調理器具(鍋・フライパン)、食器類などが含まれます。

ただし、ロゴ入りの食器や特殊すぎる装飾品は、次のテナントにとって不要となるケースも多いため、選別が必要です。

空調など

空調など

業務用エアコンや換気扇等の空調設備です。

業務用エアコンは本体価格だけでなく設置工事費が高額であるため、これらが正常に稼働することは、買主にとって大きなコスト削減メリットとなります。

【注意】リース・レンタル品は譲渡できない可能性がある!

造作譲渡において最もトラブルになりやすいのが、「リース品」や「レンタル品」の取り扱いです。

リース契約中の厨房機器や、レンタル契約のおしぼりウォーマー・ビールサーバーなどは、所有権が店舗オーナー(売主)ではなく、リース会社や飲料メーカーにあります。そのため、売主が勝手に売却(譲渡)することはできません。

もし、リース品を含めて造作譲渡契約を結んでしまった場合、後からリース会社に返還を求められたり、残債の一括返済を迫られたりするケースがあります。

リスト作成時には、機器の側面に「リース設備」のステッカーや、契約書に「リース契約」などの記載がないかを明確に把握しておくことで、未然にトラブルを防ぐことができます。

造作譲渡料はどう決まる?

造作譲渡料の金額を算出する際に、法律で定められた明確な計算式や定価はありません。最終的には「売主と買主、当事者間の合意」によって決まります。

一般的には、設備の減価償却後にまだ帳簿上に残っている価値をベースにしつつも、以下のような要因によっても価格が上下します。

  • 需要と供給: 「多少高くてもこの場所で開業したい」という人が多ければ価格は上がる。
  • 退去期限: 退去日が迫っている場合、売主は“坪単価5万円〜10万円以上”かかる原状回復工事費用を避けるために0円でも譲渡したいと考える。

他にもさまざまな要因によって造作譲渡料が決定します。しかし、これらの要因や相場観を知っていたとしても、飲食店オーナーご自身ですべての手続きを進めるとなると、うまくいかないケースがほとんどです。

そのため、まずは造作譲渡に関する最低限の知識を把握し、賃貸借契約書や売却に必要な書類を見直してから、飲食店の売却に特化した業者に相談することをおすすめします。

万が一、これらを準備せずに交渉に臨むと、数百万円の損失が出ることも珍しくありません。まずは「店舗売却ドットコム」のような専門業者へ無料相談し、適正な査定を受けて判断してもらいましょう。

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造作譲渡料の金額を左右しやすい主な要素

造作譲渡料は先述した要素だけではなく、「立地」「設備状態・汎用性」「使用年数」も関係してきます。それぞれ見ていきましょう。

立地(人通り・視認性)

最も影響力が大きい要素です。駅徒歩5分圏内や繁華街の路面店など、集客が見込める「好立地」であれば、設備が古くても「場所代」が上乗せされるので、高額での譲渡が成立するケースが多いです。

設備状態・汎用性

設備状態は綺麗で故障のない設備が良いのはもちろんですが、「どんな業態でも使いやすいか」という汎用性も重要です。

  • 高評価:重飲食(ラーメン・焼肉・中華)対応の設備。重飲食は給排水・排気設備の施工費が高額なため、買い手候補が同業態での出店希望の場合は、居抜き需要が非常に高いです。

  • 低評価:特定の業態に特化しすぎた内装や、特殊なレイアウト。どんなに内装に多額の費用をかけていても、買い手候補が魅力を感じない場合は居抜きとしての価値がほとんどつかないことも。

使用年数

厨房機器やエアコンの製造年式です。 一般的に、製造から5年以内の機器であれば価値がつきやすいですが、それ以上だと故障リスクが高まるため、資産価値はほぼゼロ、あるいは「処分費がかかる負債」とみなされる場合もあります。

【最大のメリット】撤去・原状回復負担の軽減

売主側にとって、スケルトン戻し(原状回復)には坪あたり5万〜10万円以上の解体費用がかかります。 「造作譲渡が成立すれば、この解体費用を払わなくて済む」というメリットは、売主にとって非常に大きいです。

一方で買主側は、本来、内装や設備をすべて準備しなくてはいけませんが、居抜き物件の場合、造作が残っている状態なので、初期費用を大幅にカットできます。

このため、売り手側、買い手側の双方に大きいメリットがあります。これらの立場を理解して交渉に進むと、より良い交渉ができるでしょう。

造作譲渡料の相場

造作譲渡料の相場を明確に知りたい方は多いのですが、結論、造作譲渡料の相場は一律ではありません。

エリア、業態、機器の状態で数百万円の幅が出ますが、2025年〜2026年の一都三県における自社調べの成約データに基づくと、おおよその目安は以下の通りです。

エリア飲食店の平均的な相場目安特徴
東京都心部(港・渋谷・新宿等)250万〜450万円場所の価値が高く、高額になりやすい
東京都下・神奈川・埼玉・千葉100万〜280万円駅前立地か否かで大きく変動する
郊外ロードサイド0円〜150万円原状回復費用が高額なため、無償譲渡も多い

ただし、これらはあくまで目安で、「内装が豪華だから高く売れるはず」と思っていても、流行遅れのデザインであれば解体費用分だけマイナス査定になることもあります。

自己判断して「高く売れそう」と思い、余裕を見ていざ交渉になると「思ったよりも価値がつかなかった…」というケースは少なくありません。

正確な数字を知りたい場合は、自己判断せず、まずは居抜き専門の業者へ相談しましょう。「店舗売却ドットコム」などでは、居抜き物件に特化したプロが無料査定を行っています。

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金額設定の前にリストを作成しよう!

未然にトラブルを防ぎ、適正価格で取引するためには、「何が譲渡対象で、何が対象外か」を明確にした「造作譲渡リスト」の作成をしておくと安心です。

特に口頭での「全部置いていきます」などのうかつな発言は非常に危険です。例えば「高価なエスプレッソマシンも含まれると思っていたのに、引き渡し直前に持ち出された」といった取引後のトラブルが後を絶ちません。

そうならないためにも、以下のような事項をまとめたリストを作成するようにしましょう。

  1. 品名・メーカー・型番・製造年
  2. 数量
  3. 状態(動作確認の結果、傷の有無)
  4. リース・レンタルの有無
  5. 所有権の所在

以下に、参考として実際のリストを用意しました。用意したい方はぜひ参考にしてください。

造作譲渡リストの作成例(カフェの場合)

区分品名メーカー/型番年式数量状態/備考
厨房機器2ドア縦型冷蔵庫ホシザキ/HR-xxx2022年1台動作良好
厨房機器製氷機ホシザキ/IM-xxx2018年1台※給水フィルタ交換推奨
厨房機器食洗機パナソニック/DW-xxx2023年1台【リース契約中】要承継
什器4名掛けテーブル木製オリジナル5卓天板に一部傷あり
音響スピーカーBOSE/xxx4個天井埋込
除外品エスプレッソマシン1台※売主が持ち帰る

このように、「除外品」や「不具合のある箇所」も正直に記載することが、契約不適合責任を問われないための防衛策となります。

また、業者を介す場合、「造作譲渡一式」として扱われるケースもあります。その際に不安な方は、「何の造作を譲渡するのか」を明確にしてから契約書にサインするようにしましょう。

本記事では、居抜き物件の「造作譲渡料」の金額の相場や料金の決まり方について解説してきました。

造作譲渡料は造作譲渡金と呼ばれることもありますが、同じ意味を指しています。売主にとっては「撤退コストの削減と資金回収」、買主にとっては「初期投資の大幅な圧縮」という、双方にメリットがある売却手法です。

しかし、その金額や条件は、立地・設備の状態・契約のタイミングといった複合的な要素で決まります。

安易な口約束や、相場を無視した価格設定は、交渉決裂や引き渡し後の訴訟トラブルの原因となりかねません。

造作譲渡や居抜きの仕組みを正しく理解した上で、飲食店の売却に経験豊富な専門業者に問い合わせを行い、適正な査定とアドバイスを受けることから始めることを強くおすすめします。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
一都三県で、居抜きでの売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。