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【2025年最新】飲食店の閉店にかかる費用|基本事項や損をしない方法を解説

投稿日:2025/08/29

飲食店の閉店をご検討されている経営者の方で、「閉店の際にかかる費用は一体いくらなのか」気になる方は多いのではないでしょうか。

閉店時の費用には、店舗の原状回復工事費から従業員への支払い、リース品の解約料など、想定を超える出費で資金計画が狂い、大きな損失につながることも。

本記事では、少しでも不安なく、そして前向きな次の一歩へと進めるように、飲食店の閉店にかかる費用の内訳と具体的な相場や費用を抑えるコツを徹底的に解説します。


飲食店の閉店にかかる主な費用は?

飲食店の閉店には、大きく分けて6つの費用が発生します。

予想外の出費に慌てないためにも、まずはどのような費用が、どのくらいかかる可能性があるのかを把握するために、それぞれの費用の内容と目安について詳しく見ていきましょう。

家賃(解約予告分)

賃貸物件で飲食店を経営している場合、閉店を決めたらすぐに解約できるわけではありません。賃貸借契約書には「解約予告期間」が定められており、その期間分の家賃は、たとえ営業していなくても支払い義務が発生します。

一般的に、店舗物件の解約予告期間は3ヶ月〜6ヶ月前と設定されているケースが多く、長い場合は1年前に予告が必要な契約も存在します。

(例)月額家賃が40万円で解約予告期間が6ヶ月の場合

40万円(月)×6ヶ月=240万円

このように、実際に解約できるまでの間に家賃負担が発生することを念頭に置かなければなりません。閉店の意思が固まり次第、まずは賃貸借契約書を確認し、自店の解約予告期間と通知方法を正確に把握しましょう。

原状回復工事費

原状回復工事費

原状回復工事とは、借りていた店舗を入居時(契約時)の状態に戻すための工事です。一般的には、壁紙や床の張り替え、内装の解体・撤去がこれにあたりますが、飲食店においては、内装を全て解体して建物の骨組みだけの状態に戻す「スケルトン工事」を契約で求められることが多いため、費用が高額になる傾向があります。

原状回復工事の費用相場は、店舗の規模や内装の状態、工事の範囲によって大きく変動しますが、一般的には坪単価10万円〜20万円になります。

ただし、これはあくまで目安であり、アスベストの除去が必要な場合や、特殊な内装・設備がある場合は追加費用が発生することも。

原状回復は、貸主との間でトラブルになりやすい項目でもあるため、契約内容を十分に確認し、複数の工事業者から見積もりを取ることをおすすめします。

在庫・設備の処分費

閉店時には、食材や飲料の在庫、そして厨房機器やテーブル、椅子といった設備を処分する必要があります。

  • 在庫(食材・飲料)
    • 賞味期限が近いものは従業員に分けたり、閉店セールなどでできるだけ在庫を売り切るなどの工夫が必要です。
  • 厨房機器・什器
    • まだ使用できる厨房機器や家具・家電などの設備は、専門の買取業者に売却することで、処分費用を削減できるどころか、現金化できる可能性も。一方で、売却できないものは不用品として回収業者に依頼するか、産業廃棄物として処分するため、費用が発生します。

産業廃棄物の処分費用は、2tトラック1台あたり5万円~10万円が目安となります。処分する物の量や種類によって変動するため、こちらも複数の業者に見積もりを依頼しましょう。

人件費の清算

人件費の清算

従業員を雇用している場合、閉店に伴い人件費の精算が必要になり、以下のようなものが含まれます。

  • 最終月の給与・社会保険料
  • 解雇予告手当

特に注意が必要なのが、従業員を解雇する場合、少なくとも30日以上前に予告しなければならないと定められている「解約予告手当」です。もし予告が30日に満たない場合、不足する日数分の平均賃金を「解雇予告手当」として支払う義務があります。

今まで働いてくれた従業員の生活を守るためにも、誠実な対応と余裕を持って通知しましょう。

リースやレンタルの解約料

POSレジや業務用冷蔵庫、製氷機、ビールサーバー、おしぼりウォーマーなどをリース契約で導入している場合、中途解約には違約金や残債の一括返済が求められることがほとんどです。

また、レンタル品も同様に、契約期間によっては解約料が発生することも。

これらの費用は契約内容によって大きく異なるため、閉店を決めた段階で、利用しているすべてのリース・レンタル契約書を確認し、解約時にかかる費用をリストアップしておきましょう。

光熱費などの月額経費

光熱費などの月額経費

店舗の営業最終月までの、電気・ガス・水道料金の精算も忘れてはいけない閉店費用の一つです。

電話やインターネット回線、予約管理システムや会計ソフトといった月額課金制のサービスも同様で、これらの解約手続きを忘れてしまうと、営業していなくても基本料金がかかり続けてしまいます。

そのため、閉店日が確定したら、各契約会社への解約連絡リストを作成し、手続き漏れがないように注意しましょう。

各種費用のまとめ

これまで解説した閉店にかかる主な費用を一覧表にまとめました。

ご自身の店舗の状況と照らし合わせ、費用の全体像を把握するためのチェックリストとしてご活用ください。

費用項目内容費用目安
家賃(解約予告分)解約予告期間中の賃料月額家賃 × 3~6ヶ月分
原状回復工事費内装解体、スケルトン化工事など坪単価10万円~20万円
在庫・設備の処分費産業廃棄物処理、不用品回収など5万円~(量や品目による)
人件費の清算最終月給与、解雇予告手当など従業員の給与・人数による
リース・レンタルの解約料機器の残債一括返済、違約金など契約内容による
光熱費などの月額経費電気・ガス・水道、通信費などの精算最終利用月までの料金

※上記はあくまで一般的な目安であり、店舗の立地、規模、契約内容によって金額は大きく変動します。

閉店の手続きと流れ

飲食店の閉店には、費用の計算だけでなく、数多くの法的な手続きや関係者への連絡が必要です。

ここでは、閉店準備から契約解約までの基本的なステップを5つに分けて、やるべきことのリストと共に解説します。

閉店準備から契約解約までの基本ステップ

ステップ①閉店の意思決定~準備開始(6ヶ月以上前)

閉店の意思が決定したら、まず「賃貸借契約書」の内容を明確に把握しましょう。

特に、「解約予告期間」と「原状回復の範囲」は、今後のスケジュールと費用全体に大きく影響するため、最優先で確認しましょう。

【やるべきこと】

  • 賃貸借契約書の内容確認(解約予告期間、原状回復義務の範囲)
  • リース契約、レンタル契約の内容確認
  • 税理士や会計士に相談(税務上の手続き、資金繰りの確認)
  • 居抜き売却や事業譲渡の可能性を検討し、専門家へ相談を開始

ステップ②関係各所への通知(3~6ヶ月前)

契約書で定められた期限に基づき、関係各所へ正式に閉店する意向を伝えましょう。

特に貸主への解約通知は、書面などの証拠が残る形で行うのが一般的です。

【やるべきこと】

  • 貸主(大家・不動産管理会社)へ解約通知を提出
  • 従業員へ閉店の旨を告知(誠実な説明と、解雇予告手続きの開始)
  • 取引先(仕入れ業者など)へ連絡
  • リース・レンタル会社へ解約の申し入れと手続きの確認
  • 原状回復工事業者の選定と見積もり取得

ステップ③行政手続きの準備と顧客への告知(1~2ヶ月前)

閉店に伴い、複数の行政機関への届出が必要になるので、必要な書類は事前に準備を進めておきましょう。

この際に、利用してくれたお客様にも感謝を伝えるためにも、きちんと閉店告知をしましょう。

【やるべきこと】

  • お客様への閉店告知(店頭、Webサイト、SNSなど)
  • 在庫処分セールなどの計画
  • 行政機関への届出書類の準備
    • 保健所:「廃業届」
    • 警察署:深夜酒類提供飲食店営業の「返納届」など(該当する場合)
    • 消防署:「防火管理者解任届」など
    • 税務署:「事業廃止届出書」「給与支払事務所等の廃止届出書」など
    • 都道府県税事務所:事業廃止の申告
    • ハローワーク・年金事務所:「雇用保険適用事業所廃止届」「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」など

ステップ④最終営業日~閉店作業

最終営業日を迎えた後、店舗の明け渡しに向けた最終作業に入ります。原状回復工事の着工までに整理できるものはきちんと整理しておきましょう。

【やるべきこと】

  • 最終営業
  • ライフライン(電気・ガス・水道・通信回線など)の最終確認と解約手続き
  • 在庫や設備の搬出・処分
  • 店舗の清掃

ステップ⑤店舗の明け渡しと各種手続き完了(閉店後)

原状回復工事が完了したら、貸主の立ち会いのもとで店舗を明け渡します。その後に、残りの行政手続きを完了させましょう。

【やるべきこと】

  • 原状回復工事の実施・完了
  • 貸主立ち会いのもと、店舗の明け渡し
  • 保証金の返還額の確認と受領
  • 各行政機関へ廃業に関する届出を正式に提出
  • 事業の確定申告

このように、飲食店の閉店にはやるべき手続きが意外と多く、個人で進めるのは不安な方も少なくありません。

また、店舗の状況によっては、このステップで紹介した手続き以外にも対応が必要な場合があります。

そのため、少しでも不安がある方は、信頼できる業者に相談してみるのも良いでしょう。

費用を抑えるコツと損をしない方法

閉店には多くの費用がかかりますが、正しい知識と方法を知ることで、費用を支払うどころか、まとまった資金を手にして次のステップに進める可能性も。

ここでは、閉店費用を抑え、損をしないための具体的な方法をご紹介します。

居抜き売却とは

居抜き売却とは、店舗の内装や厨房設備、什器などをそのままの状態(居抜き)で、次の借主に売却(譲渡)する方法です。

この方法の最大のメリットは、数百万円単位の費用がかかる原状回復工事が不要になる点です。

さらに、内装や設備に価値が認められれば、数十万〜数百万円の売却益(造作譲渡料)を得られるので、閉店費用をゼロにするどころか、プラスにできる可能性も。

 「居抜き売却のメリット・デメリットや成功のコツ」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、店舗の設備だけでなく、従業員の雇用契約、運営ノウハウ、レシピ、ブランド、顧客リストといった「事業そのものを譲渡する」方法です。

大切に育ててきたお店や従業員の雇用を、信頼できる次のオーナーに引き継ぎたいと考える方にも適した選択肢で、個人経営の店舗でも、居抜き売却よりもさらに高額な売却益が期待できるケースもあります。

事業譲渡の具体的な手続きや注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

その他の節約ポイント

居抜き売却や事業譲渡以外にも、閉店費用を抑えるために、国の補助金を活用したり、原状回復工事の費用を適正化したりと、節約できるポイントがあります。

ただし、これらの補助金の活用や、貸主との交渉、そして最適な売却方法の選定まで含め、まずは一人でやろうとせずにプロに相談することが、結果的に最大の節約につながります。

私たち店舗売却では、1,600店舗以上の飲食店を売却サポートをしてきた実績を基に、一人ひとりに寄り添ったサポートを提供していますので、まずはお気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談

本記事では、飲食店の閉店にかかる費用の内訳から、手続きの流れ、そして費用を抑えて損をしないための具体的な方法までを解説しました。

閉店には、原状回復費用や解約予告家賃をはじめ、多くの費用と複雑な手続きが伴いますが、「居抜き売却」や「事業譲渡」といった選択肢を検討することで、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。

もし、閉店に関する費用や手続きなどで少しでも不安を抱えている場合は、私たち店舗売却のプロが、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

「店舗売却ドットコム」では、1,600件を超える飲食店の売却支援実績があります。
株式・事業譲渡だけでなく、「店舗・居抜き売却」を検討している方も、お気軽にご相談ください。

店舗売却ドットコムに相談
株式会社Food Innovators Japan 取締役 今井康仁

監修者:今井 康仁(株式会社Food Innovators Japan 取締役)


飲食業界に20年以上携わり、現在はFood Innovators Japanで店舗売却支援や開業サポート、経営改善などに取り組んでいます。現場経験をもとに、事業者の皆さまに役立つ情報をお届けします。